「働き方」が大きく変わろうとしている現代。次世代のリーダーは何を意識し、どんな行動を取るべきか――。管理職に求められるリーダーシップのあり方を、具体的かつ体系的に解説します。

管理職に期待するスキル群

管理職に求められるスキルをまとめたものは色々あるが、私は、経団連がまとめているミドルマネージャーに求められる基本的役割(ミドルマネージャーをめぐる現状課題と対応/一般社団法人日本経済団体連合会2012)がわかりやすいと思う。情報関係、業務遂行関係、対人関係、コンプライアンス関係の4つに分類されている。

 

小難しい感じがするので、私は「情報マネジメント(情報の大事さ)」、「テクニカルスキル(ロジカルに物事を整理したりポイントを絞り込んだりする技術的な能力)」、「ヒューマンスキル(他者と一緒に何かをするときに大事な要素)」、「人として大事なこと(自分が自分でいること)」と読み替えている。このような区分けは、それぞれが独立して機能することもないから、大して重要ではない。学生時代の科目のように無理やり区別したような話は実生活では稀であるし、管理職が必要になるような仕事という特性を考えると、厳密な区分けというのはなかなか難しい。

 

ではなぜ、このような区分を考えるのかといえば、自分自身あるいは自分が管理する組織のメンバーの能力開発を考えたりするときに便利だからである。

 

そして、いくらスキルに長けていても必要なところで活用しなければ、スキルがないのと同じなのであるから、「リーダーシップ(行動を起こすときに考えておくこと)」という要素も付け加えておきたい。要は、必要なときに必要な行動を起こすという意味合いのものである。

 

肩書やタイトルだけで物事が解決するケースは一般社会においてはほとんどない。「リーダーシップ」というものも、それだけで独立して機能することもない。「進むべき道は、こっちだ」と思えるような何かしらの考えや根拠があっても行動しなければ、行動していないのと同じである。モヤモヤするキーワードなので使い方には注意が必要だが、すべての行動の原動力は「リーダーシップ」という要素なのかもしれない。

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冠 和宏

20年以上、医薬品の研究開発に従事。これまで第一三共株式会社およびファイザー株式会社にて日米の開発組織でキャリアを歩み、海外も含めた臨床開発の戦略立案業務全般に深く関与。
専門分野は、企業治験及び医師主導治験、そして組織マネジメント、戦略構築から治験オペレーションと幅広く、学術面でもレギュラトリーサイエンスのエリアで幅広く活躍中。
現在は、自ら設立した法人を通じ、臨床開発・組織及び人材開発の専門家としてコンサルティング業務に従事。現職に加えて、2019年7月より株式会社アセントデベロップメントサービスの取締役副社長兼開発本部長を兼任している。
また、厚労省ベンチャーサポート事業のサポーターやアカデミア組織の客員講師などの兼任、更に製薬業界の業界団体にあたるDIA Japan にも所属し、2018年はDIA日本年会のVice Program Committee Chairを務め、また2019年より人工知能とデジタル技術の利活用にフォーカスしたシンポジウム(Cutting edgeシリーズ)のプログラム委員長を務めている。

本記事は、2020年11月刊行の書籍『管理職魂』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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