(画像はイメージです/PIXTA)

夫婦別姓や事実婚など、現代では夫婦関係の形も多様化しています。そんななか、内縁関係の相手がいる場合の相続問題は、より複雑な問題に発展するケースが多いようです。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、内縁関係の相手がいる場合の相続問題について杉本隼与弁護士に解説していただきました。

法定相続人と遺言

遺言書が存在しない場合、相続財産は、法定相続人が相続することになります。ここでいう法定相続人とは、民法で定められた被相続人(亡くなられた方のことを意味します)の財産を相続できる人を意味します。

 

民法は、第886条から第895条にて相続人に関する規定を定めており、当該規定をもとにして誰がどのような場合に相続人となるのかが決定されることになります。

 

相談事例の場合、遺言書が存在せず、亡くなられた被相続人には子供および配偶者が存在せず、被相続人の両親が健在であるため、相続人は被相続人の両親となります(民法第889条第1項第1号)。

 

一方、民法の規定では、内縁の夫(妻)は相続人であるとはされていません。また、被相続人の両親が健在の場合は、被相続人の姪が相続人となることはできないものとされています。従って、相談事例の場合、遺言書がない以上、①内縁の夫は相続財産を取得することができず、②被相続人の姪も相続財産を取得することができないこととなります。

 

法定相続人以外に相続財産を取得させるためには、被相続人が遺言書を作成する必要があります。相談事例の被相続人の方が生前の希望(不動産を姪に渡すこと等)をかなえるためには、遺言書を作成する必要があったものと言えます。

相続が発生した場合にやるべきこと

相続が発生した場合、まず行うべきことは、①どのような相続財産があるのかという点を確認すること、②法定相続人は誰かを確認すること、③遺言書の有無を確認することの3点であるといえます。被相続人と同居していた場合は、①および③を確認することは比較的容易であるといえるでしょう。

 

しかし、同居していなかった場合には、①および③を確認することが難しい場合があります。特に、相談事例のように、内縁の夫のような相続人ではない第三者が被相続人と同居しており、相続財産を実質的に管理している場合などにおいては、当該第三者との話し合いが必要となり、①および③の調査をするだけでも困難が伴う場合もあります。このような場合、弁護士に交渉の代理を依頼して行うという手段も一つの方法であるものと言えます。

 

もっとも、相談事例のように「穏便」な解決を希望する場合、弁護士が介入すると、相手方の態度が硬化するという事例は多々見受けられます。

 

一つの方法としては、弁護士に相続に関する法制度の説明を受けつつ、交渉自体は本人で行うという方法もあり得るでしょう。弁護士の活用の仕方として、代理人として交渉するという以外の活用の方法もあります。自分の希望に沿った弁護士の活用が行えるように、親身になって話を聞いてくれる弁護士に相談を行うのが望ましいものと言えると思います。

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