歯ブラシ1本でできる“究極の自己投資”…意外と知らない「歯磨き」の新常識【歯科医師が解説】

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歯ブラシ1本でできる“究極の自己投資”…意外と知らない「歯磨き」の新常識【歯科医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

あなたの歯は綺麗に磨くことができているでしょうか? 「1日3回磨いているから大丈夫!」という人であっても、「磨いている」のと「磨けている」のでは意味がまったく違います。歯ブラシのスタートポジションや動かし方、よく磨ける歯ブラシの特徴、歯垢のチェック方法…。意外に難しい「歯磨き」について、吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック代表・吉田格氏が解説します。

歯磨きの常識・非常識

歯磨きには、この他にも意外に知られていない要点がたくさんあります。その中からいくつかご紹介いたしましょう。

 

■歯ブラシは小細工のないまっすぐなものを

歯ブラシはとにかくまっすぐな、当たり前のものを選んでください。しかし世の中にはおかしな形をした歯ブラシもたくさんあります。

 

歯ブラシは単価が安く、薄利多売をしなくてはなりません。そこでメーカーは目新しい形状を考案し差別化を図ろうとします。

 

その結果生まれるのがいわゆる変形歯ブラシです。柄を曲げたり毛先を加工したり、いろいろな理由をつけて売ろうとします。しかしこれが困るのです。

 

人によってはその形態が合い、よく磨けるようになるのかもしれません。

 

しかしその人は次もまた同じ製品を買うのでしょうか? そして10年後にも売っているのでしょうか? なかなかそうも行かないと思います。

 

鏡を見ながら歯磨きを練習していただき、慣れたら鏡は不要になります。しかし変形歯ブラシに変えるなどで歯ブラシの柄と毛の位置関係が変わると、また鏡を見て練習し直しになります。そんな手間を強いるのでしょうか?

 

まっすぐな歯ブラシならいつでもどこでも手に入るので、メーカーが変わっても問題は起こりません。

 

■毛先はとにかく普通のものを

毛先を細く加工した歯ブラシは、「突き刺さり感」があるのでよく磨けるような気がします。

 

しかし実際に歯ブラシを動かしても細すぎて毛が「しなる」だけで、擦掃効果はむしろ落ちてしまいます。

 

形も硬さも、特別な理由がない限りは普通のものを選んで構いません。

 

※ご参考:日本歯科医師会『それは思い込みかも? どんどん進化する歯磨き法』

 

■電動歯ブラシは「自動歯ブラシ」ではない

学生の頃、参考書やよくできる同級生のノートのコピーを手にしただけで、試験はもうバッチリと思ったことはありませんか?

 

また、良いゴルフクラブやテニスラケットを買っただけで、うまくできるようになるはずと思ったことはないでしょうか?

 

それと同じで、電動歯ブラシを買っただけで、もう歯周病が治った気になる人が多いのです。

 

歯ブラシ指導をしようとすると「電動を使っているから、やらなくていいです」と断る人が多いのですが、大きな勘違いです。

 

電動はあくまで電動で、自動歯ブラシではありません。

 

電動歯ブラシといえども、スタートポジションは同じ。これを歯科衛生士に確認してもらう必要があります。

 

私は電動歯ブラシとは、手が不自由な人や、介護のヘルパーさんが使うもので、健康な人が手抜きのために使うものではないと考えています。また今回は説明できませんが、歯間ブラシやフロスも当然必要で、トータルで見ればたいした時短になりませんし、持ち運びも不便です。

 

毛先が届かない部分にまで効果があると謳う製品もありますが、顕微鏡で観察するとそのような力は決してないことが誰にでもわかります。派手な広告にはくれぐれもご注意ください。

 

■高圧水流洗浄機は無効

高圧(といってもたいしたことないのですが)で水を噴出させる機械が有効と言う人もいるのですが、まったく信用できない話です。

 

なぜならどんな歯科医院にも昔からそのような装置があるのですが、それでプラークが取れることはないのをみんな知っているからです。

 

実際顕微鏡で粘着したプラークを観察すると、高圧水流ごときではビクともしないことがよくわかります。

 

やはり、プラークは擦って落とすしかないのです。

 

■歯磨剤(歯磨き粉)はあくまで“補助”程度

意外に思うかもしれませんが、歯磨剤(歯磨き粉)は基本的に不要です。洗口剤(マウスウォッシュ)も気休め程度に考えてください。

 

まず、配合されている殺菌剤の効果が期待できるのは、基本的に唾液中の浮遊菌で、バイオフィルムという歯に付着した細菌層の中には入りません。

 

薬効はあくまで歯ブラシが正しく当たってから発揮されるものです。いかにもよく効きそうな広告を目にしますが、それでは磨かなくても塗るだけで効果があることになってしまいます。

 

一方、2017年にムシ歯予防のためにフッ素を高濃度に配合した歯磨剤が認可されました。これを歯ブラシの植毛部の2/3以上に盛り、磨いた後のウガイはほぼしないで放置することが推奨されています。

 

しかしその薬効も、上記の歯ブラシの取り扱いができていなければたいしたことありません。

 

高濃度フッ素があるから歯ブラシは適当でいい、ということではありません。また多すぎる歯磨剤は、鏡で確認しつつ歯ブラシで磨くことを難しくします。

 

必ず歯科衛生士がいる歯科医院で、個人に合わせた磨き方を探してもらうことが最優先です。

 

■使用中の歯ブラシをスマホで撮ってみよう

今お使いの歯ブラシをスマホのカメラで撮って、拡大して見てみましょう。そこには驚愕の事実が写っていませんか?

 

古くて毛先がバラバラになっているとか、汚れが詰まっているとか、カンジダなどのカビが検出されてもおかしくない状態の人が多いと思います。

 

[写真3]歯ブラシをスマホで撮影し、拡大して見てみましょう。驚愕の事実が写っていませんか?

 

で、その歯ブラシはいつから使い始めたものか覚えていますか? 交換時期の判断はいろいろありますが、いつから使っているのかくらいは控えておきましょう。

 

ちなみに私はコンタクトレンズと一緒に、歯ブラシも2週間ごとに交換するようにしています。

 

■赤染でプラークをチェック

小学生の頃、歯垢を赤く染めて友達同士で見せ合い、キャーキャー騒いでいた経験をお持ちの方も多いでしょう。

 

プラークは汚れといっても白いので、白い歯に着いても保護色でわかりません。これを食紅のようなもので染めると、あらあら、真っ赤っか!

 

【動画3】赤染をしてみよう(※閲覧サイトによっては表示されない場合があります。)

 

この赤染、大人にも必要です。最近はマスク生活が長く続き、口で呼吸していたためプラークが固まる傾向が強いと感じています。

 

プラークが残った状態では、ムシ歯も歯周病も治療に入れません。何でもそうですが、原因が取れてないまま進めても、うまくいくはずありません。

 

しかし歯を100%磨き切れる人などおりません。ですから定期的に歯科衛生士に磨いてもらうことが必要になり、これをPMTCと称し多くの歯科医院で実施されています。特に矯正治療中の方には強くおすすめいたします(動画4)。

 

【動画4】矯正治療中のPMTC(※閲覧サイトによっては表示されない場合があります。)

 

なお歯ブラシの練習は必ずしも歯科医院に赴く必要はなく、オンラインでもできる部分もあるので、積極的に利用したいものです。

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。