(写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生し、相続手続きをせずに放置した場合、どうなるのでしょうか? 相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

その他の相続手続きは放置しても良い?

相続手続きには、これら以外にも数多くの手続きが存在します。では、相続財産などの状況からここまでで挙げた手続きが特に必要ない場合には、手続きをしないままで放置しても良いのでしょうか?

 

少しでも財産があれば遺産分割協議を済ませておくべき

遺産分割協議とは、どの財産を誰が取得するのかを決めるために行う相続人同士での話し合いです。この遺産分割協議自体には、特に期限はありません。

 

ただし、上で記載した相続税申告などをするためには、原則として先に遺産分割協議が済んでいることが必要となります。そのため、こうした期限のある手続きに間に合うように遺産分割協議を行うことが一般的です。

 

また、少しでも財産があるのであれば、相続税申告など期限のある手続きがないからといって遺産分割協議をしないままで放置することはおすすめできません。なぜなら、時間が経ってからいざ預貯金の解約や証券口座の名義変更などの手続きをしようとした際に、他の相続人の状況が変わるなどして協議がまとまらず、手続きが難航してしまうおそれがあるためです。

 

遺産分割協議はできるだけ早期に済ませ、協議の結果をまとめた遺産分割協議書まで作成しておくと良いでしょう。

 

預貯金や株式の名義変更や解約は済ませておくべき

預貯金の解約や株式など有価証券の名義変更などの手続きには、特に期限はありません。

 

しかし、手続きをしないことには原則として預金を引き出したり有価証券を売却したりすることはできませんので、早期に手続きをしておくべきでしょう。

 

株式などの有価証券は原則として故人名義のままでは売却をすることができず、いったん相続人など株式を引き継いだ人に名義変更をした後に売却の手続きをする必要があります。株価の変動などで急いで売却しようとしても、故人名義のままではすぐに売却ができず、機を逸してしまうかもしれません。

 

また、預貯金は10年間取引がなければ休眠口座に移行しますが、その後も所定の手続きを踏めば引き出すことは可能です。ただし、あまり長期間取引がない場合には、手続きがより煩雑になったり、手続きから引き出しまでに時間を要することとなったりする可能性もありますので、注意しましょう。

 

遺言があればすみやかに検認手続きなどをおこなうべき

亡くなった人が遺言書を遺していた場合の手続きにも、特に期限は定められていません。

 

しかし、遺っていた遺言書が法務局での保管制度を経ていない自筆証書遺言であった場合などに必要となる検認手続きは、遅滞なくおこなうべきとされています。検認とは、遺言書の状態を保存するために家庭裁判所でおこなう手続きです。

 

また、遺言書の種類にかかわらず、長期にわたり他の相続人に開示などの手続きしなかった場合には、遺言書の隠匿を疑われ、場合によっては相続の権利を失ってしまうかもしれません。

 

さらに、せっかく遺言書で不動産などの財産を取得したにもかかわらず手続きしないままでいると、他の相続人が自分の相続分相当の持分だけを勝手に登記して、その持分を第三者へ売却してしまう懸念が生じます。

 

このような事態が生じれば、もはや売却されてしまった持分を取り戻すことは困難です。無用なトラブルを防ぐため、遺言書があった場合にはすみやかに手続きを済ませるようにしましょう。

 

 

Authense法律事務所

堅田 勇気

 

 

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