白内障手術で使われる「多焦点眼内レンズ」。遠近両方にピントが合い、メガネやコンタクトから解放されるとたいへん便利な一方で、従来の単焦点レンズに比べ「高額すぎる」と敬遠されてしまうことも……今回は、そんな「多焦点眼内レンズ」の詳しい仕組みとその課題について、京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏と、関西大手予備校「研伸館」講師の米田誠氏が、物理学の観点からわかりやすく解説します。
「高いからいい治療」というわけではない
単焦点と多焦点…個々にあった治療選択を
先述したように、老眼鏡などの眼鏡をかける生活を非常に不便に感じる場合は、少々高額でも多焦点レンズを用いた治療が向いているでしょうし、逆に老眼鏡などの眼鏡に慣れてしまっている場合は、単焦点レンズを用いた治療が向いているのではないでしょうか。
ちなみに、もともと左右の視力に差があり、その生活に慣れてしまっている場合は、片目を遠方にピントが合う単焦点レンズ、もう片目を近くにピントが合う単焦点レンズを用いる治療を選択するケースもあるそうです。
以上のように実際の医療の現場では、治療を受ける患者さんの職業やライフスタイルに合わせて、どのレンズを適用するかが決まっているようです。正解は1つだけではありません。
鎌田 浩毅
京都大学
名誉教授
米田 誠
研伸館
専任講師
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京都大学
名誉教授
1955年東京生まれ。東京大学理学部卒業。通産省主任研究官、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、現在京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・同名誉教授。専門は火山学、地球科学、科学教育。「京大人気No.1教授」の「科学の伝道師」。
著書は『100年無敵の勉強法』(ちくまQブックス)、『理系的アタマの使い方』(PHP 文庫)、『新版 一生モノの勉強法』(ちくま文庫)、『火山噴火』(岩波新書)、『地球の歴史』(中公新書)、『一生モノの英語勉強法』(吉田明宏氏との共著、祥伝社新書)などのほか、研伸館との共著に『一生モノの受験活用術』(祥伝社新書)がある。
YouTube「京都大学オープンコースウェア」で『京都大学最終講義』動画を公開中。
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連載「物理」で日常のみえかたが変わる…身近な医療技術を物理学の視点から徹底解説!
研伸館
専任講師
1977年生まれ。兵庫県西宮市出身。大阪大学大学院修了(修士[工学])。三菱重工業株式会社での設計業務を経て、現在関西の大学受験予備校「研伸館」にて物理の学習指導に携わる。東大・京大をはじめ、難関大学志望の高校生や灘中・灘高の学校準拠クラスを指導するなど、幅広いレベル・学年の講座を担当。イメージに頼らず、基礎から体系的に知識・論理的思考力を構築していく指導をモットーとする。
YouTube「研伸館オンライン」チャンネルにて、『物理のワンポイント講義』動画を現在公開中。鎌田浩毅・研伸館共著の『一生モノの受験活用術』(祥伝社新書)にて物理の記事を執筆。
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