(※写真はイメージです/PIXTA)

大事な仕事や予定があるのに、「体や心が疲れすぎてボロボロ」というときってありませんか。不調に陥ってしまったとき、自分一人でも簡単にできるリカバリー方法があるといいます。エグゼクティブコーチの大平信孝氏が著書『部下は動かすな。』(すばる舎)で解説します。

無理しないで、今できることをしよう!

しかし、人事の方に見送ってもらい、エレベーターに乗ったとき、ふと我にかえると、「まずい、体がボロボロだ……」という状態でした。

 

2時間後にはさらに、書店さんとのコラボ企画「セルフマネジメントゼミ第3講」も迫っている状況でした。

 

「気合と根性!」が、使えればいいのですが、原稿の締め切りや、連続の夜の講座、終日の研修で、すでに使い果たしている状態でした。

 

そんなときに私が実践したことは、とても地味なことです。

 

それは、今の自分の状況に「マッチング」することでした。

 

弱音を吐きつつ、トボトボ歩いている自分に対して、

 

「そりゃしんどいよね。これだけプレッシャーが重なったら、しんどくもなるよ。わかる、わかる。お疲れ」

 

と自分で自分を励まし、その上で「無理しないで、気負わずに、今できることをしよう!」。そう自分に声をかけました。

 

すると、こんなに疲れきった状態でお伝えするテーマが「セルフマネジメント」というのが、疲れを通り越してちょっと笑えてきました。

 

そのあとのゼミでは、無理せず座って講義をしました。その代わりに、疲れきっている自分をネタにして、リアルセルフマネジメント法の追加レクチャーができました。

 

どんなときも、「今、この状況の自分」からスタートする。自分の本音や現状に、まずマッチングすることから始めていくのです。

 

この方法は、体が疲れているときだけでなく、気持ちが落ち込んでいるときにも使えます。

 

「『残業はダメ、人員は増やせないけれど、業績は上げろ』という会社の指示にずっと従ってなんとか頑張ってきたけれど、もう本当に心身ともに疲れ果ててしまった。自分が消えてしまいたいくらい、落ち込んでいます……」

 

これは、私が主催しているリーダー向けの年間プログラム「行動イノベーションプラチナコース」のメンバーからいただいた相談です。

 

こんなとき、目標実現の専門家として、「こうしてみたら?」「こう捉えてみたら?」と具体的なアドバイスをすることもできます。

 

ですが、人が本当に落ち込んでいたり、心身ともに疲弊したりしているときには、アドバイスを聞くことも難しいものです。

 

さらに、そのアドバイスを実践する余裕があることは稀です。

 

こういうときは、私はひたすら現状を聞いて、マッチングします。

 

具体的には、「そうだったんですね」「それはしんどかったですね」「それは大変でしたね」「今はそう感じているんですね」といったように、まずは、相手の現状にひたすらマッチングするのです。

 

すると、少し気持ちや思考に余裕が出てきます。
 


そのタイミングで、「無理しないで、気負わずに、今の状態でもできることがあるとしたら、それはどんなことですか?」と、聞くようにしています。

 

これはプロコーチがいなくても、自分ひとりでもできます。心身ともに疲弊してしまったとき、試してみてください。

 

大平信孝
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役

 

 

※本連載は、大平信孝氏の書籍『部下は動かすな。』(すばる舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

部下は動かすな。

部下は動かすな。

大平 信孝

すばる舎

「部下が動いてくれない」「部下が一向に成長しない」「怒っても褒めてもうまくいかない」「チームが全然まとまらない」「リーダーとしての自信がない」… このような悩みを抱えるリーダーのあなたは、なんとかして部下・チ…

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