(※写真はイメージです/PIXTA)

バイデン大統領の「同盟国との連携、協力を重視」という方針は、別な角度から見れば、「アメリカの利益のために同盟国をしっかりと利用させてもらう」という意味も含まれます。日本にはこれを歓迎する声もありますが、事態はそう単純ではありません。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)で解説します。

「同盟国との連携、協力を重視」の本当の意味

■アメリカの「本能」「本性」を知っておく

 

アメリカ人は、アメリカの利益のために他国を利用するという本能や本性を持っています。

 

「自分たちは世界で一番偉い、すごい」などと信じているアメリカ人が実に多い。この優越感はややこしい。アメリカが見返りなしに他国のためにアメリカを犠牲にすることは実質的には考えにくい。アメリカが同盟国に利益をもたらせば、その利益と同等かそれ以上の見返りを要求します。それがアメリカです。

 

「同盟国との連携、協力を重視」というバイデン大統領の方針は、別な角度から見れば、「アメリカの利益のために同盟国をしっかりと利用させてもらう」(霞が関関係者)という意味合いにも取れます。そう警戒しておいた方がいいと思います。

 

アメリカの本能、本性とともに留意しておきたいのは、これまでの民主党政権の巧妙とも言われる体質です。共和党のトランプ前大統領の言葉は、強硬で、時には品格に欠けましたが、趣旨が明確で、「難題も多いが対応しやすい相手」(日本政府関係者)という見方がありました。

 

しかし、民主党バイデン政権の手法には不安も付きまといます。永田町の関係筋などによれば、かつて民主党のオバマ政権時代、日本の部品メーカー関係者は、反トラスト法違反などで、アメリカで数十人が摘発されました。収監された従業員も多かったといいます。

 

アメリカで、トヨタ自動車の大規模リコール問題や、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンのディーゼル車をめぐる排ガス不正問題が起きたのも民主党のオバマ政権下でした。この時、「全米で販売台数トップを競う海外メーカーが、あえてアメリカ当局の標的にされたのではないか」(自動車業界関係者)といった疑念も生じました。

 

制裁や圧力で自国の利益を守ろうとするのは、時に発動されるアメリカの常套手段です。

 

でも、水面下で不透明な手法でやられると、対処するのがややこしい。バイデン大統領がどう振る舞うのか。民主党のこれまでのやり方を踏まえると、アメリカのペースで日本が振り回される懸念が出てきます。

 

日米両国にとって相互信頼と協力関係が重要なのは言うまでもありません。ただ、バランスを欠いたアメリカへの依存は、大きな“代償”を伴います。アメリカが負のスパイラルに陥った際は、巻き込まれて不要な負担を被る度合いが大きくなるでしょう。

 

これは日本国にとって大きなリスクです。アメリカとの同盟関係は、本来、対等であることが重要なのです。対等でない現状の関係を自考によって見直すことが急務ではないでしょうか。私たち日本人は、日本が歩むべき道を自考でしっかりと選ぶべきだと思います。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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