長生きの秘訣は?「センテナリアン(100歳長寿者)の研究」で分かった意外事実【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

長生きするには、どうすれば良いのでしょうか? 老化のコントロールは慢性疾患の発症リスクを低減するカギでもあります。今回は主に「センテナリアン(100歳長寿者)」に着目し、長寿の秘訣を探っていきましょう。※本稿は、小西統合医療内科院長・小西康弘医師並びに株式会社イームス代表取締役社長・藤井祐介氏との共同執筆によるものです。

センテナリアンの研究から分かってきたこと

■センテナリアンが必ずしも健康的な生活をしているとは限らない

センテナリアン(100歳長寿者)の研究から分かったのは、長寿遺伝子の研究で長寿の要因とされるカロリー制限や糖質制限など、いわゆる「健康に良いとされる生活習慣」を、センテナリアンが必ずしも厳密に守っているわけではないということです。

 

センテナリアン(100歳長寿者)を調べた研究では、長寿者すべてが食事に気を付けたり運動したりしてはいなかったのです。中には、喫煙したり、食べたいだけ食べたりしている人もいました。

 

ならば長寿の原因は遺伝的なものかと考えられましたが、センテナリアンの遺伝子解析でも、ゲノムは決して完璧ではありませんでした。たとえば、アポE4遺伝子はアルツハイマー型の認知症のリスク因子になることは明らかになっていますが、センテナリアンの中にはアポE4の遺伝子を持つ者もいました。

 

遺伝的要素が、老化に与える影響は20%程度であると考えられています。残りの80%は遺伝子を取り巻く環境要因(エピゲノム)なのです。遺伝子を取り巻く環境が、遺伝子の発現に影響を与えることを調べる学問の分野を「エピジェネティクス」と言います。

 

最初にも触れた通り、この環境要因に影響を与える要素としては、いくつか挙げられていますが、ヒトの場合にはそのまま当てはまりません。何が長生きする秘訣なのかは簡単には判断できないのです。

 

こう言ってしまうと元も子もありませんが、「健康的な生活をしたからといって、長寿できるという保証はない」のです。もう少し、遠慮した言い方をすれば、少なくともヒトにおいて「健康的な生活をすれば長生きできる」ことを証明するエビデンスがまだ得られていないということです。

 

■センテナリアンに聞いた「長寿の秘訣」から見えた、意外な要因

では、健康長寿になる条件を満足させて、健康長寿を実現するというのは夢見物語に過ぎないのでしょうか? あるいは、健康的な生活以外に長寿できるかどうかを決めている要因が別にあるのでしょうか?

 

その答えを知る上で、センテナリアンに長寿の秘訣を聞いた非常に興味深いアンケートがあります。「自分が健康に長生きしている上で気を付けていることは何か?」という質問に以下のような回答がありました。

 

●適度な運動をしている

●多くの野菜、豆、木の実などを食べる

●毎日適当なカロリーを摂取している

●アルコールは適度に飲むか、まったく飲まない

●人生の目的がはっきりとしている

●毎日、神聖な儀式を行なってストレスを緩和している

●霊的、または宗教的慣習に従っている

●家族で仲良く、生き生きと暮らしている

●親しい献身的な友達がいて、支え合いの集まりに参加している

 

このアンケートから分かることは、センテナリアンは基本的には、確かに一般的に健康に良いと言われていることを意識している傾向は見られますが、一方では、個別に見ると喫煙習慣があるなど、長生きのために気をつけているとは言えないような状況も見られます。このアンケートで重要なのは、健康的な生活以上に「心のあり方」が大きな影響を与えているのではないかと分かったことです。

 

「心のあり方」と言われてしまうと、急に煙に巻かれたように感じる人も少なくないのではないかと思います。しかし、現代科学では、この目に見えない「心のあり方」も、実証主義のまな板の上に載せて議論しようという努力がされています。

 

たとえば、自然免疫力と心のあり方については、いくつもの先進的な研究があります。ヒトにおいて、ストレスを与えた場合と与えない場合で、自然免疫力にどのような違いが起こるかを明らかにした研究があります。そして、ストレスが加わることでNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が下がることが示されています。

 

NK細胞は自然免疫を司る免疫細胞の一つで、ウイルス防衛などの最先端で働きます。NK活性が高いと風邪をひかない以外に、がんにもなりにくいことが分かっています。人間には毎日5000〜6000個のがん細胞が自然発生していますが、それを退治してくれるのがNK細胞です。さまざまなストレスがかかり、NK活性が低下することでがんに対しての防衛力が低下することも分かっています。

 

がん治療に対して「笑い療法」というものがあります。落語を聞いた前後でNK活性を測定した研究があり、明るく笑うだけでNK活性が高まることが分かっています。

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    医療法人全人会 小西統合医療内科 院長 総合内科専門医
    医学博士

    京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院・京都大学消化器内科などで内科全般を研修し、消化器内科を専門とする。内科医として約20年病院勤務。現在は、小西統合医療内科院長として、機能性医学を柱とした統合医療の立場から診療に携わっている。

    【小西統合医療内科HP:https://www.konishi-clinic.com/

    機能性医学に関する情報をFBなどで発信しています。
    下のリンク集をご参照ください。
    https://lit.link/doctorKonishi

    著者紹介

    株式会社イームス 代表取締役社長
    メタジェニックス株式会社 取締役
    株式会社MSS 製品開発最高責任者 

    欧米で生化学と栄養学を学び、製品の研究開発並びに医療コンサルティング会社を立ち上げる。

    2009年に機能性医学をいち早く日本に紹介し、現在は日本の医療従事者へのソリューション提供や講演活動に従事している。

    著者紹介

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