不動産小口化商品とは、不動産を小口化し、複数の投資家が集まって1つの物件に投資する方法です。手持ちの資金で、資産価値の高い物件に投資できることが魅力の商品です。現物の不動産投資のように、高額なローンを組む必要はありません。小額から始められるため、初心者でも始めやすいことが特徴です。この記事では、不動産小口化商品の基礎から選び方までを、おすすめ商品とあわせて紹介します。
不動産小口化商品の選び方とは?おすすめ8選を紹介! (※画像はイメージです/PIXTA)
1. 不動産小口化商品とは?
1.1. 現物の不動産投資との違い
1.2. REITとの違い
2. 不動産小口化商品の種類
2.1. 匿名組合型
2.2. 任意組合型
2.3. 賃貸型
3. 不動産小口化商品のメリット
3.1. 相続税・贈与税対策に役立つ
3.2. リスク分散ができる
3.3. 優良物件から選択できる
4. 不動産小口化商品を選ぶポイント
① 運用期間を確認する
② 利回りを確認する
③ 商品手続きにかかる各種手数料を確認する
④ 配当金の税区分を確認する
⑤ 分割のしやすさを確認する
5. おすすめの不動産小口化商品サイト8選
5.1. CREAL(クリアル)|1万円から投資可能
5.2. みんなで大家さん販売|想定利回り約7%
5.3. ARISTO(アリスト)|相続税・贈与税対策に
5.4. なにわファンド|30年にわたる確かな実績
5.5. マリオンボンド|景気変動を受けにくい物件を厳選
5.6. アセットシェアリング|リノベーションで物件価値を引き上げ
5.7. Vシェア|厳選された都心のオフィスビルを多数提供
5.8. 不動産小口化商品ナビ|役立つ専門家コラムが多数
6. まとめ

1. 不動産小口化商品とは?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産小口化商品とは、小額から始められる不動産投資商品です。

 

物件を小口化し、1口数万円から数百万円で購入できるようにしています。複数の投資家が1つの物件を所有し、投資割合に応じて利益を分配する仕組みです。

 

販売会社は、不動産特定共同事業法により国土交通大臣か都道府県知事の許可を得る必要があります。投資家の保護のため、一定の基準を満たした事業者しか許可を得られません。

 

不動産小口化商品では、個人の資産ではなかなか手に入らないような、高額な優良物件に投資が可能になることが魅力です。

 

1.1. 現物の不動産投資との違い

現物の不動産投資との違いは、購入金額を抑えられることです。

 

アパート経営やマンション経営には、数千万円の資金が必要です。物件の維持管理にかかる費用も所有者が負担します。

 

一方、不動産小口商品では小額の商品を選べ、管理の手間もかかりません。また、小口化されているため、相続の際に分けやすい特徴もあります。

 

ただし、現物不動産の購入と異なり、不動産を担保に融資を受けることはできません。そのため、自己資金に余裕があることが前提です。また、自由に売却ができず、解約に条件がつくこともあります。

 

1.2. REITとの違い

REITは、少ない資金から始められる不動産投資信託のため、不動産小口化商品と似ています。

 

不動産投資法人が複数の投資家から資金を集め、複数の不動産を運用して利益を還元する仕組みです。不動産投資とは異なり、金融商品として扱われます。

 

REITとの違いは、不動産小口化商品は自分で不動産を選択できることです。

 

REITでは、運用は不動産投資法人に任されるため、投資物件を投資家が選ぶことはできません。また、REITは金融商品のため、自由に売買が可能な点でも不動産小口化商品と異なります。

2. 不動産小口化商品の種類

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産小口商品には、「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸型」の3種類があります。ここからは、3つの特徴をご紹介します。

 

2.1. 匿名組合型

事業者と投資家が匿名組合契約を締結し、事業者に出資する形態です。出資額に応じて、事業者が不動産運営で得た利益を分配します。不動産の所有権は事業者にあり、登記も事業者が行うため、投資家の匿名性が保たれます。

 

分配金は雑所得となり、不動産としての節税効果はありません。短期で1口数万円からの商品が多く、初心者にも利用しやすい商品です。

 

また、投資家に優先して利益を分配する「優先劣後出資」方式を採用する事業者であれば、通常よりも安定した運用が可能です。

 

ただし、安定性が高い分、利益の分配率は低めに設定されています。

 

2.2. 任意組合型

事業者と投資家が任意組合契約を締結し、共同事業として不動産投資を行う形態です。任意組合型はさらに2つに分類され「現物出資型」「金銭出資型」にわかれます。

 

現物出資型は、投資家が事業者から不動産を小口分購入し、購入した現物を任意組合に出資します。投資家の名前で不動産登記されることが特徴です。出資後は任意組合の共有財産になります。購入時と出資時に2回、登記費用がかかることが難点です。

 

金銭出資型は、任意組合に金銭を出資する方式です。不動産は任意組合の共有財産となり、登記は事業を代表する事業者の名前で行われます。

 

どちらの方法でも不動産を所有しているとみなされるため、相続時の節税効果が期待できます。

 

2.3. 賃貸型

複数の投資家が不動産を小口分購入し、事業者に貸し出して運用を任せる形態です。

 

投資家は不動産を共有所有しているため、分配金は不動産所得として扱われます。そのため、相続時の節税効果も期待できます。

 

長期的な運用をする商品が多く、比較的安定した運用方法です。ただし、賃貸型を採用する不動産小口化商品は少数です。

3. 不動産小口化商品のメリット

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産小口化商品の種類による、またはすべての商品に共通するメリットをご紹介します。

 

3.1. 相続税・贈与税対策に役立つ

現金や有価証券と比べて、不動産は相続税・贈与税対策に活用できます。

 

現金や有価証券は、そのままの価値が相続税や贈与税の課税対象です。それに対して、不動産は路線価や固定資産評価額が適用されます。この価格が購入金額よりも低く設定されていることが多く、節税対策になり得るのです。

 

不動産小口化商品のうち、任意組合型と賃貸型は不動産を所有しているとみなされ、不動産としての評価額が適用されます。

 

節税対策も見越して不動産小口化商品を購入するのであれば、任意組合型か賃貸型を選びましょう。小口購入が可能になるため、相続人が複数いる場合に分けやすいというメリットもあります。

 

3.2. リスク分散ができる

現物の不動産投資と比べて、分散投資がしやすい点もメリットです。

 

現物であれば、数千万の資金が必要になるため、簡単に複数の物件に投資できません。不動産小口化商品であれば、一口あたりが小額のため分散投資が可能です。他の金融商品と組み合わせて、用途に応じた投資計画が立てられます。

 

3.3. 優良物件から選択できる

不動産小口化商品として売り出される物件は、事業者が共同経営するために選んだ物件です。不動産のプロが選ぶため、一般の不動産市場に出回らず、すぐに買い手が付くような優良物件も選択肢に入ります。

 

プロの視点から見て、資産価値が高く長期的に価格の下がりにくいと判断された物件から投資先を選択できます。

 

一般的に、優良物件は高額で、普通の投資家が手を出せる金額ではありません。しかし、不動産小口化商品であれば、そのような資産価値の高い物件でも共同所有できる可能性があります。

4. 不動産小口化商品を選ぶポイント

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

魅力的な物件も多い不動産小口化商品を選ぶ際のポイントをご紹介します。

 

① 運用期間を確認する

商品によって、運用期間に差があります。

 

短期で運用したいのか、長期の運用を目指すのかによって商品の選び方を変えましょう。匿名組合型は運用期間が短期のものが多くあります。短期運用を目的としているなら、匿名組合型がおすすめです。

 

相続対策として不動産小口化商品を購入するのであれば、相続のタイミングまで運用期間が続く長期の商品を選びましょう。

 

ただし、長期運用の商品にすると、途中で売却できない可能性もあります。長期間動かさなくてもよい資金を充てるか、途中で売却できる商品を選ぶかは、契約前に確認して決めておくようにしましょう。

 

② 利回りを確認する

不動産小口化商品には、どの程度の利益が得られるのかの目安として、想定利回りが設定されています。

 

利回りとは、投資金額に対する収益の割合です。表面利回りと実質利回りの2つあります。

 

  • 表面利回り=年間の想定収入÷投資金額✕100
  • 実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(投資金額+購入の諸経費)✕100

 

表面利回りには諸経費が含まれず、実質利回りよりも高くなります。そのため、算出した金額は実際に手元に残る金額とは異なります。

 

また、実質利回りが設定されていたとしても、安心はできません。諸経費としてすべての金額が含まれているのか、他に必要な費用が発生しないかを事前に確認しましょう。

 

利回りの高い物件は、年間収入の変動リスクが高い傾向があります。利回りの高さだけではなく、安定性のある商品を見極める必要があります。

 

③ 商品手続きにかかる各種手数料を確認する

商品によって、手続きにかかる費用は異なります。契約にかかる費用や登記費用の他、運営費用や中途解約費用、契約終了時の売却費用などを比較して、自分にあった商品を探しましょう。

 

また、節税対策として購入するときは、名義書換手数料も比較してください。名義書換をするたびに手数料が必要な商品や、受取人1人あたりに手数料が発生する商品があります。

 

少しでも多くの資産を残すためにも、手数料は必ず確認しましょう。

 

④ 配当金の税区分を確認する

匿名組合型の配当金は、税制上、雑所得に区分されます。

 

任意組合型と賃貸型は不動産を共有財産とするため、不動産所得として扱われます。条件を満たした不動産所得であれば、青色申告によって特別控除の適用が可能です。

 

また、配当金は不動産所得でも、売却代金は譲渡所得となる商品もあるため事前に確認しましょう。

 

⑤ 分割のしやすさを確認する

相続や贈与を視野に入れて、不動産小口化商品を選ぶのであれば、分割のしやすさも確認する必要があります。1口の金額や最低口数、分割や売却の際に1口単位で可能かどうかは商品によって異なるからです。

 

たとえば、贈与対象者が2人で2口を購入したとしても、1口ごとに譲渡できない商品であれば分けられません。

 

相続・贈与対象者の人数や状況にあわせて、分割しやすい商品を見つけてください。

5. おすすめの不動産小口化商品サイト8選

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

ここからは、おすすめの不動産小口化商品のサイトを8つ紹介します。

 

5.1. CREAL(クリアル)|1万円から投資可能

(出典:CREAL)
(出典:CREAL)

 

CREALは、1口1万円からの投資が可能で、インターネットで手軽に申し込めることが特徴です。クリアル株式会社によって販売されています。

 

投資商品の情報をインターネットで開示しており、投資家は情報をチェックすることができます。優先劣後出資を採用しているため、リスクの低い安定した運用が見込める商品です。

 

また、空室対策としてマスターリース契約を採用しています。資金の分別管理も行い、投資リスクを抑える取り組みにも力を入れています。

 

5.2. みんなで大家さん販売|想定利回り約7%

(出典:みんなで大家さん販売)
(出典:みんなで大家さん販売)

 

みんなで大家さん販売は、都市綜研インベストファンド株式会社が営業する不動産小口化商品サイトです。想定利回り6.0~7.0%の商品が多く掲載されています。1口100万円単位で、3〜5年の短期運用がメインです。

 

また、優先劣後出資を採用し、元本割れのリスクを軽減しています。分配金は、2ヵ月に1回受け取れる仕組みです。そのため定期的な副収入が望めます。また、残利益があった場合にも3%相当を出資者に分配する仕組みです。

 

5.3. ARISTO(アリスト)|相続税・贈与税対策に

(出典:不動産小口化商品ARISTO(アリスト))
(出典:ARISTO)

 

ARISTOは、株式会社エー・ディー・ワークスが運営するサイト(商品)です。

 

1口100万円で、最低口数は5口に設定されています。そのため、最低でも500万円の資金が必要です。500万円以上であれば、100万円単位で出資額を増やせます。口数によって分割可能なため、複数人への相続や贈与に適しています。

 

任意組合契約を採用していて、出資金は現金のみです。比較的長期運用の商品が用意されています。

 

5.4. なにわファンド|30年にわたる確かな実績

(出典:なにわファンド)
(出典:なにわファンド)

 

なにわファンドは、大阪に拠点を置く株式会社アンビシャスホームが運営するサイト(商品)です。

 

大阪で30年間不動産業を営んできた実績をベースに、不動産小口化商品の販売をしています。扱う物件は住居系がメインで、家賃収入を主な収益としている商品です。1口10万円で、最低口数は3口の商品が用意されています。1年〜3年程度の契約期間がメインです。

 

また、契約形態は匿名組合契約で優先劣後出資を採用しています。分配金は、3ヵ月に1回受け取れます。

 

5.5. マリオンボンド|景気変動を受けにくい物件を厳選

(出典:MULLION BOND)
(出典:MULLION BOND)

 

マリオンボンドは、匿名組合契約の不動産小口化商品です。優先劣後方式の採用で、投資家の利益分配を優先しています。また、手数料はかかりますが、いつでも事業者に対して買取請求ができるため流動性の高い商品です。

 

景気変動を受けにくい、利便性の高い住居用マンションやワンルームマンションにこだわって運用しています。1口100万円から展開しています。

 

5.6. アセットシェアリング|リノベーションで物件価値を引き上げ

(出典:ASSET SHARING)
(出典:ASSET SHARING)

 

アセットシェアリングは、中古マンションのリノベーション事業を展開する株式会社インテリックスが運営するサイト(商品)です。

 

リノベーション事業のノウハウを生かして、建物のリフォーム・リノベーション・コンバージョン(用途変更)を行います。建物管理のプロとして、資産価値を守ることにこだわった運用が特徴です。

 

1口100万円からで、比較的長期間の運用が特徴です。任意組合型のため、相続税・贈与税対策にも利用できます。

 

5.7. Vシェア|厳選された都心のオフィスビルを多数提供

(出典:不動産小口化商品 Vシェア)
(出典: Vシェア)

 

都心のオフィスビルを中心に商品を展開するのが、株式会社ボルテックスのVシェアです。

 

1口100万円から、最低口数は5口に設定されています。500万円でハイグレードなオフィスビルを所有できるところが魅力です。利便性が高い物件を選ぶことで、運用の安定性を重視しています。

 

任意組合型で、相続税・贈与税対策が可能です。元々の物件の価値が高いため、不動産の評価額との差が広がりやすく、大きな節税効果が期待できます。

 

5.8. 不動産小口化商品ナビ|役立つ専門家コラムが多数

(出典:不動産小口化商品ナビ)
(出典:不動産小口化商品ナビ)

 

不動産小口化商品ナビは、株式会社幻冬舎ゴールドオンラインが運営するサイトです。複数の不動産業者の任意組合型商品を「利回り」「目的」などから検索できます。

 

物件情報はもちろん不動産業界・投資業界の専門家が書いた不動産小口化商品に関するコラムを読むことができます。不動産小口化商品に関する専門知識や経済動向、対象の物件が立つエリアの将来性などについて正しい知識を身につけながら投資を始めることができます。

6. まとめ

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

この記事では、不動産小口化商品の特徴やおすすめの商品(サイト)をご紹介しました。

 

相続税や贈与税対策にもなる不動産小口化商品は、資産の組み換えにも有効な選択肢です。また、優先劣後出資を採用する商品であれば、安定した運用が見込めます。

 

節税対策が見込める商品は、おおむね100万円からの出資がメインです。その他に、数万円からの投資が可能な商品もあり、初めて不動産投資にチャレンジしたいときにはおすすめです。

 

不動産小口化商品の利点がご自身のニーズに合っているなら、資産形成の1つの方法として取り入れてみてはいかがでしょうか。