大前研一が語る「日本人はどれだけ働いても給料は上がらない」理由

日本では、どれだけ真面目に働いても給料が上がりません。その理由は単純で、企業の労働生産性が低いからです。ただし、製造業だけで比較すると、日本の生産性は低くありません。では、どこが足を引っ張っているのでしょうか。大前研一氏が著書『日本の論点 2022~23 なぜ、ニッポンでは真面目に働いても給料が上昇しないのか。』(プレジデント社)で解説します。

日本では真面目に働いても給料が上がらない

■日本はなぜ安いのか

 

日本では、どれだけ真面目に働いても給料が上がらない。その理由は単純で、企業の労働生産性が低いからだ。日本生産性本部の調査では、日本の一人当たり労働生産性は、2019年はOECD加盟37カ国中、26位だった。主要先進7カ国(日本、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア)で比較すると、日本は50年以上も最下位に甘んじている。

 

ただし、製造業だけで比較すると、日本の生産性は低くない。では、どこが足を引っ張っているかといえば、ホワイトカラーの間接業務だ。

 

総務・人事・経理・法務などの間接業務は、21世紀になってもデジタル化による生産性向上が進んでいない。情報システムを整備して誰もがパソコンで業務を進めるようになっても、生産性は上がっていないのだ。その理由は、間接部門の組織が相変わらず20世紀型だからだ。

 

海外の企業では、デジタル化を進めると同時に、働き方と組織の改革にも着手する。たとえば、以前は10人働いていた職場が、パソコンと担当者1人だけで10人分の業務量をこなせるようになれば、生産性は10倍だ。労働生産性を上げるには、一定のアウトプットに関わる人数を減らすのが効果的な方法となる。

 

ところが、多くの日本企業では、デジタル化を進めても間接部門の人数は減っていない。デジタル化によって10人分の業務を1人で担当できるようになっても、職場の人員は10人のままだ。仕事がない9人は、上意下達の内容を伝えていく“社内伝達係”になる。要するに、ムダな会議を開いて時間を潰しているのだ。

 

日本の企業が本気で取り組めば、労働生産性を上げることは難しくない。ただし、間接業務の担当者の9割が失業するので、古いタイプの経営者は「頑張って働いてきた社員をクビにするのは忍びない」と人員削減に手をつけないでいる。

 

しかし、働く人と働かない人を同じ職場に置いておくのは100%誤った発想だ。この誤った発想のせいで企業の生産性は低いままなので、社員の給料も上がらない。このような悪循環に陥っているのだ。

 

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    ビジネス・ブレークスルー大学学長

    1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号取得、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号取得。日立製作所へ入社(原子力開発部技師)後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し日本支社長などを経て、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長を務める。近著に『日本の論点 2022~23』(プレジデント社)など著書多数

    著者紹介

    連載30年続いた「安い日本」から脱却する処方箋

    本連載は、大前研一氏の著書『日本の論点 2022~23 なぜ、ニッポンでは真面目に働いても給料が上昇しないのか。』(プレジデント社)から一部を抜粋し、再編集したものです。

    日本の論点 2022~23

    日本の論点 2022~23

    大前 研一

    プレジデント社

    「なぜ日本では真面目に働いても給料が上昇しないのか」――。 約2年間にわたり猛威を振るい、各国の政治経済に深刻な影響を与えた新型コロナウイルスは、ワクチン接種が進んだ結果、いまだ予断を許さないとはいえ、世界は新…

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