(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、日本国内でM&Aの件数が急増しています。少子高齢化、経済成長率の鈍化など経済環境の激変、後継者不足や経営者の高齢化など次世代への事業承継が原因だと考えられています。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

M&Aの種類とプロセスは3つのステップ

一口にM&Aといいますが、M&Aにはいろいろな種類があります。一般に企業と企業の提携のうち資本の異動を伴うものをM&Aといいます(広義のM&A)。このうち株式を買い取ることでその会社を支配下に収めることを企業買収、いわゆるM&Aといいます(狭義のM&A)。

 

企業買収には、株式を取得して資本参加したり、事業譲渡により資産買収を行なう「買収」と企業同士が吸収合併したり新設合併したりする「合併」と、逆に新設分割したり、吸収分割したりする「分割」とがあります。

 

M&Aを行う際にはどのような形態が双方にとって望ましいのかをよく検討し、合意の上で実行する必要があります。

 

M&Aのプロセスは、実際には細かなステップがありますが、一般的には大きく分けて3ステップとなります。

 

(1)ステップ1.M&Aスキームの決定まで

 

まず企業内部で何のためにM&Aを行うのか、その目的を定め、M&Aを行う戦略を練ります。その上でM&Aの仲介会社にアプローチし、複数の仲介会社の中から1社を選び、FA契約(ファイナンシャル・アドバイザリー契約)、NDA契約(Non-DisclosureAgreement)を結びます。

 

そして仲介会社から候補先リスト(ロングリスト)を示してもらい、対象となる企業分析を行い、アプローチの優先順位を決めます。そしてどのような形態でM&Aを行うのかというスキーム(枠組み・計画)を決めます。

 

(2)ステップ2.企業分析~対象企業にアプローチするまで

 

スキームが決まったら、候補を選定し、仲介会社から買い手に「ノンネームシート」といって企業名を伏せたものが提示され、M&Aの意思確認が行われます。意思確認が取れたら売り手側社名を明かして(ネームクリア)、買い手側に候補企業の「企業概要書」が提示されます。

 

買い手側では売り手側に関する細かな企業分析を行い、シナジー効果等を推定します。買収金額の推定も行います。候補先企業分析を終えたら、対象企業にアプローチします。

 

(3)ステップ3.アプローチからクロージング実施まで

 

候補企業にアプローチして、面談や調査等を行い双方合意できたらトップ面談に進みます。トップ面談がOKであれば、買い手側が「意向表明書」を提出し、その後基本合意書の締結を行い、会計士等の専門家を雇ってデューデリジェンス(買収監査)を実施します。

 

そして「最終譲渡契約書」を締結し、決済や株券の譲渡が進めばクロージングとなります。

 

ポイント
M&Aは目的を明確にして、ステップを踏んで行う

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

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※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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