【ビジネスの無情】保険金は支払えません…絶望の工場火災後、必死で出した収益が「足かせ」になったワケ

【ビジネスの無情】保険金は支払えません…絶望の工場火災後、必死で出した収益が「足かせ」になったワケ

主力工場の全焼により、設立以来の大ピンチに陥った衛生用品会社。従業員たちは苦境を乗り越えるべく、一丸となって復旧に努め、業務に奔走します。その結果、1ヵ月後の売上は火災前を大きく超えるまでに。従業員たちは手を取り合って喜びましたが、この頑張りがさらなる危機的状況を呼び込むことになったのです。

起死回生の新製品開発に成功するも、突然の取引停止

私たちはなんとか赤字を解消しようと操業時間を延ばして増産を図るとともに、全国の業者を駆け回って得意先の拡大をねらいましたが、なかなか思うとおりにはいきませんでした。

 

なかには手を差し伸べてくれる取引先もありましたが借入金は増える一方で、銀行は融資をしてくれません。命綱である中小企業金融公庫からはすでに借りられるだけ借りていたので、もう八方塞がりといった状況に追い込まれました。

 

そしてついに操業以来、初めて給料遅配が出てしまいました。そうなると従業員も動揺します。さらに追い討ちをかけるように身内の不幸が重なり、父は相当つらい思いをしていたはずです。

 

会社は手詰まりの状態でしたが、父は次の一手を模索することをやめませんでした。不織布と脱脂綿を組み合わせた化粧綿の開発を進め成功させたのです。

 

これが好評を得て、当時大手スーパーだったダイエーでの販売が始まりました。この新製品が順調に伸びていけば立ち直れるという希望の光が見えたところで、また振り出しに戻されるようなことが起きます。

 

一日も早く借金を返したい、会社を黒字化したいという焦りが先走ったのかもしれません。製品管理が行き届いていなかったことが原因で、消費者からクレームが入ったのです。納入し始めてからわずか1カ月で、ダイエーから取引停止が言い渡されました。

 

中小企業にとって、大手企業との取引は安定した売上をもたらしてくれるものです。その一方で、取引が停止されたときのダメージは甚大です。ありったけの資金を投入し苦労を重ねて開発した製品が、山のように返品されてきてしまいました。

 

加えて長年取引をしてきた布団屋が倒産し、不渡りを出すといったことも重なりました。致命的な金額ではなかったものの、銀行の態度はますます厳しくなるばかりです。

 

資金繰りのめどはまったく立たず、もう打つ手がないというところまで追い詰められました。当時私は熊本大学に通っていて、ちょうど春休みで帰省していました。そんなタイミングで父から涙ながらに会社を手伝ってほしいと頼まれ、私は一年間休学して会社を手伝うことを決意したのです。

 

 

龍宮株式会社 代表取締役社長
梯 恒三

 

 

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一品勝負 地方弱小メーカーのものづくり戦略

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梯 恒三

幻冬舎メディアコンサルティング

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