(画像はイメージです/PIXTA)

中国経済の中心地である上海は、6月1日午前0時から新型コロナウイルス対策の規制を緩和し、約2ヵ月間継続されたロックダウンは実質解除となった。「ゼロ・コロナ」政策と、経済成長の両立に苦しんだ中国市場の現在を、香港在住・国際金融ストラテジストである長谷川健一氏が徹底解説する。

水面下での金融緩和で、輸出先第2位の日本にも恩恵が

輸出先としての中国も日本にとってはプレゼンスがある。中国の輸入相手の1位(金額ベース)は韓国だが、2位は日本で総輸出額の約9%を占める。輸出品目では、資本財や部品、加工品が多く、そうした企業の収益にも影響するだろう。その場合、機械や精密機器などの銘柄、化学や鉄鋼などの素材銘柄には、各企業収益への負のインパクトを通じて、株価にも影響することは避けられない。

 

中国の貿易統計では今年4月の輸入額が前年比で伸び率ゼロとなった。それだけ停滞感は深刻な所まで来ていたのである。

 

もちろん、今回の追加経済対策とロックダウン解除により、中国経済の状況が好転、底入
れする可能性もある。中国国内の資金量と日本株の間には、一定の連動性を認めるデータ
もある。

 

例えば中国では、民間企業への銀行融資などで厳格な調整弁が働いているが、資金需要
は比較的旺盛であるといえる。資金調達が可能となると、企業の設備投資やインフラ投資へと繋がりやすく、投資増加を通じて製造業の生産活動が上向き、日本の企業にも恩恵が波及する。

 

中国人民銀行は、昨年末以来、預金準備率の引き下げや預貸率規制の調整、特定の産業への貸出し推奨などで、金利引き下げ幅は小刻みながら、明らかに金融は緩和姿勢を鮮明にしている。この効果は、6~12ヶ月のタイムラグを伴って現れるので、一連の政策効果とともに効き目を発揮する可能性にも注意しておきたい。

 

繰り返しになるが、今回の中国国務院の動きは、経済の底割れリスクを認識し、少なくと
も経済政策についてはより積極的に打って出る姿勢に転換したと思われるものがある。司
法政府も含めて、危機感を持ち、しっかりとした政策転換ができてくれば、ターニングポイントとなる可能性に注目したい。

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