
2021年、東京都の転入超過数はマイナス5,433人となり、人口減を記録しました。そこで展開されているのは「大異変」、そして「都心離れ」という論調です。東京で一体何が起きているのか。みていきましょう。
コロナ禍、東京都で人口減を記録
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総務省『住民基本台帳人口移動報告』によると、2021年、転入者数が最も多かった都道府県は「東京都」で42万0,167人。一方で転出が最も多かった都道府県も「東京都」で41万4,734人。転入した人から転出した人を差し引いた転入超過数はマイナス5,433人で、東京都では人口減を記録しました。さらに東京23区では転入超過数はマイナス1万4828人。流出の中心は都心だったことが分かります。
ちなみに23区が転出超過となるのは1996年以来初めてのこと(日本人のみ集計)。また23区の転出超過を世代別にみていくと、30~44歳が3万0,372人、0~14歳が1万6,434人と、転出のボリュームゾーンはファミリー層でした。
転出の主な原因とされているのが、テレワークの普及。コロナ禍で通勤する必要がなくなったことで、人口が密集した都市環境を嫌い、都心を脱出してしまった、というもの。東京都の発表によると、コロナ禍以降、テレワークは60%前後の実施率で推移。確かに新型コロナウイルスの流行が落ち着いたなかでも、すべてがコロナ前に戻ることなく、一定数、テレワークは支持され続けています。
さらに人々が都心から流出したのは、住宅価格の高騰も一因と考えられます。不動産経済研究所によると、2021年度、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で販売された新築マンションの平均価格は6,360万円、東京23区では8,499万円でした。
住宅金融支援機構の『2020年度フラット35利用者調査』によると、2020年度にフラット35を利用してマンションを購入した人の年収倍率は全国平均で7.0倍、首都圏はやや高めで7.5倍です。正社員の平均年収は530万円程度といわれているなか、東京23区の新築マンションは、一般的なファミリー層には手が出しづらい価格となっています。その背景にあるのは、地価の高止まりや建築材などの高騰などがあると言われています。
都心にいた人々はどこに行ったのでしょうか。2021年、東京都からの転出者が向かう先で最も多かったのは神奈川県で9万6,446人。ほか埼玉県が7万8,433人、千葉県5万8,485人と続きました。コロナ禍、何かあれば都心に行けるような郊外が好まれています。
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