毎日、やることが多くて大変な子育て。だからこそ、少しでも負担を減らすことができるよう、住まいは考えていきたいものです。そこで「子育てがしやすい家づくり」について、プロに伺いました。
子育てがぐっと楽になる!「住まいづくり」のポイントをプロが解説

自由な間取りと快適さ、そして健康を支える「全館空調」

これら3つのポイントとともに、近年人気なのが「全館空調」システムです。

 

家全体の温度を管理するためには、真夏の過酷な日射熱などを遮断するための屋根や外壁の断熱性能が欠かせませんが、さらに全館空調を導入すると冷暖房から換気、空気清浄機能までがカバーできます。

 

従来は冷暖房が効いている部屋と、それ以外の廊下やトイレ、洗面室などとの温度差は避けられないものでした。ところが全館空調になると、玄関を入って家の中すべてが一定温度で快適な空間になります。

 

そのため乳幼児のいるご家庭なら、夜中に授乳のために起きて部屋を移動しても、室内が快適なのはうれしいものです。

 

また、先の項目で挙げたランドリーのスペースも、これまでなら暑さ寒さにさらされながらの作業でしたが、全館空調なら作業が断然楽になりますし、換気がよいため室内干しでも洗濯物が乾きやすくなります。さらに適切に換気されていると家全体の空気が循環し、ほこりがたまりにくいため、掃除の手間も減るといいます。

 

さらに、換気や温度・湿度の調節に加え、空気清浄の機能も備えられていることでインフルエンザウイルスの生存率低減を示すデータもありますし、カビやダニの繁殖を抑えられることもわかっています。これらの機能は家族の健康維持に大きな強みとなるものです。

 

中には「便利なのはいいけれど、光熱費はどうなのか?」と心配する人もいらっしゃるでしょう。実際に断熱性・気密性に優れた住まいに全館空調を導入した人からは、それほど負担が増えるということはなく、多くは省エネにも配慮されており、メリットの多さを評価する声がみられます。

 

また、全館空調では部屋のドアを無くしたり、リビング内に階段を設けたりするような開放的な間取りを採用するケースも多くなります。その際に注意したいのは、とくに階段は幼児にとっては危険も多いため、ベビーゲートを取り付けるなどの配慮を忘れないようにしましょう。

ストレスを減らし、「家時間」をもっと楽しむ

近年のコロナ渦の影響で、外に出たくても出られないという経験から、「自宅でどのように過ごすか」を考えさせられた人も多いことでしょう。そんな状況でストレスを感じるのは親も子も同じです。だからこそ、家の中でも楽しく過ごせるようなプラスαの家づくりを考えたいものです。

 

家にはリビングやキッチンなど、用途に応じた部屋を配置することになりますが、とくに目的を定めない「多目的なフリースペース」を確保しておくと自由度が増します。

 

たとえばリビングの一角に小上がりのスペースをとっておくと、子どもの遊び場にしたり、在宅ワークやちょっとした作業コーナーとしても使ったりすることができるでしょう。

 

リビングなどから外部とつながる、屋根のある半戸外のテラスなどを設けると、室内とはちょっと違う雰囲気で食事をしたり、水遊びをしたり、非日常の過ごし方を楽しむこともできます。

 

そして、その上で一度考えてみていただきたいのは、子どものいるご家庭では、何かにつけて「子どものために」と意識しすぎてはいないかということです。もちろんそれは大切なことですが、子どもはいずれ成長しますし、子育てのあり方も変化します。ですからもう少し親側の負担やストレスを減らし、楽しむことを大切にしてもいいのです。

 

親が心身ともによい状態でいると、子どもにもきっとよい影響を与えます。無理に気負わず、それぞれのご家庭ならではの「家時間づくり」を考えてみてはいかがでしょうか。