本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が6月6日に配信したレポートを転載したものです。

税収増加などから米国地方債の格上げが優勢

米国地方債のファンダメンタルズに目を向けると、コロナ危機からの米国経済の回復を背景に州・地方政府の税収は底堅い回復傾向が続いています。2022年1-3月期の米国の州・地方政府の税収は過去最高額を更新し、前年比+15.0%と2桁台の伸びを示しました(図表3)。

 

(出所)米商務省(期間)2000年1-3月期 (注)季節調整済・年率値(名目ベース)
[図表3]米国の州・地方政府税収の推移 (出所)米商務省(期間)2000年1-3月期
(注)季節調整済・年率値(名目ベース)

 

こうした米国の地方財政の改善を背景に、足元では主要格付会社による米国地方債への評価も高まる傾向にあります。コロナ危機直後の2020年には米国地方債への格下げの動きが広がったものの、2021年以降は米国地方債の格上げが優勢となる傾向が続いています(図表4)。

 

(出所)ブルームバーグ(期間)2019年1月~2022年5月 (注)米格付け会社S&Pによる格付け変更を集計。
[図表4]米国地方債の格付け変更件数 (出所)ブルームバーグ(期間)2019年1月~2022年5月
(注)米格付け会社S&Pによる格付け変更を集計。

 

米国地方債の高い信用力は不況への耐性備える

米国地方債は投資適格級の米国社債と比べて総じて格付け水準が高く、約6割をAa格が占めています(これに対して米国社債はA~Baa格が中心、図表5)。

 

特に足元のように先行きの景気後退リスクが懸念される不透明な市場環境においては、不況への耐性を備えた米国地方債の信用力の高さ(債務不履行リスクの低さ)が投資家からの評価に繋がりやすいと考えられます。

 

(出所)ブルームバーグ(注)2022年5月末時点。格付は米格付会社ムーディーズ。米国地方債(課税債)はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数、米国投資適格社債はブルームバーグ米国社債指数。
[図表5]米国地方債と米国社債の格付別構成比 (出所)ブルームバーグ
(注)2022年5月末時点。格付は米格付会社ムーディーズ。米国地方債(課税債)はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数、米国投資適格社債はブルームバーグ米国社債指数。

レベニュー債への分散投資が利回り向上のカギ

また、米国地方債市場は、州・地方政府が発行する一般財源保証債と、公共施設(公共インフラ)を管理・運営する公共機関が発行するレベニュー債とに分類されます。利回り水準の面では一般財源債のほうが相対的に低い傾向にある一方、レベニュー債はセクターに応じて利回りの多様性を有しています(図表6)。

 

米国地方債への投資に当たっては、レベニュー債への分散投資が利回り向上のカギとなると考えられます。

 

(出所)ブルームバーグ (注)2022年5月末時点。対象はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数。期限前償還を考慮した最低利回り。
[図表6]米国地方債のセクター別利回り (出所)ブルームバーグ
(注)2022年5月末時点。対象はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数。期限前償還を考慮した最低利回り。

 

為替ヘッジコストを上回る米国地方債の利回り

最後に、足元の米国の短期金利上昇に伴って、米ドル円の為替ヘッジコストの上昇が顕著となっています。

 

もっとも、5月末時点の米国地方債の利回り(4.18%)は為替ヘッジコスト(3ヵ月、1.79%)を上回っており、為替ヘッジ後でも米国地方債は依然として利回り面の投資妙味を残している模様です(図表7)。

 

今後は、米国地方債利回りや為替ヘッジコストの行方を左右する米国の金融政策の動向に引き続き市場の注目が集まりそうです。

 

(出所)ブルームバーグ(期間)2014年1月1日~2022年5月31日 (注)米国地方債はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数。米国地方債利回りは期限前償還を考慮した最低利回り。為替ヘッジコストは、日本円と米ドルの3ヶ月先渡為替レートおよびスポットレートを併用し、年率換算して算出。シャドーは利上げ局面。
[図表7]米国地方債利回りと為替ヘッジコストの推移 (出所)ブルームバーグ(期間)2014年1月1日~2022年5月31日
(注)米国地方債はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数。米国地方債利回りは期限前償還を考慮した最低利回り。為替ヘッジコストは、日本円と米ドルの3ヶ月先渡為替レートおよびスポットレートを併用し、年率換算して算出。シャドーは利上げ局面。

 

 

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

 

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