小学1年生…10人に1人は「発達障害」
同じクラスで、同じ職場で、「少し、周りとは違うな……」と思う人がいた、という経験はないでしょうか。もしかしたら、その人は発達障害かもしれません。
厚生労働省では発達障害を「生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です」とし、「自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症、吃音などが含まれます」と記しています。
よく耳にするようになったのは、発達障害者支援法が制定された2004年あたりから。それまでは障害だという概念はなく、多くは前出のように「変わった人」と思われていたことでしょう。
発達障害と診断される人はどれほどいるのか。日本で有名な調査は、2012年に厚生労働省が公立小中学校で約5万人の児童・生徒を対象にしたもの。それによると、発達障害児の割合は6.5%。小学校1年生に限っては10人に1人程度でした。ただここには、知的障害のある子どもたちは除外されているので、実際の数値はさらに高いと考えられます。
【学習面、または行動面で著しい 困難を示すとされた児童生徒の割合】
学習面、または行動面で著しい困難を示す:6.5%
学習面で著しい困難を示す:4.5%
行動面で著しい困難を示す:3.6%
学習面と行動面ともに著しい困難を示す:1.6%
◆小学校:7.7%
1年生:9.8%
2年生:8.2%
3年生:7.5%
4年生:7.8%
5年生:6.7%
6年生:6.3%
◆中学校:4.0%
1年生:4.8%
2年生:4.1%
3年生:3.2%
出所:文部科各省『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児 童生徒に関する調査』より
またアメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、米国の子どもの1.5%は、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)。また男子は42人に1人、女子は189人に1人の割合で発症。男子は女性に比べて5倍の発症率でした。
さらにADHD(注意欠如多動性障害)と診断された子どもは推定610万人で、全体の9.4%。ADHDについても、男子13.2%、女子5.6%と、男子の割合が多いという結果になっています。