(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の法律では同性婚が認められていないため、LGBTQ+カップルが結婚を望む場合、内縁関係を選択せざるを得ません。相続の現場ではどのような問題が起こるのでしょうか。有効な生前対策と併せて、解説します。

「婚外子」の相続分が、戸籍上の「子ども」と同等に

一般的に「婚外子」と呼ばれる、戸籍上の婚姻関係のある両親の子どもとして誕生した「嫡出子(ちゃくしゅつし)」でない子どもの相続分を、「嫡出子(ちゃくしゅつし)」の相続分と同等にするというものです。法務省による、公式発表を確認しましょう。

 

″民法の改正の概要


1 法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を削除し,嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等にしました。


2 改正後の民法900条の規定(以下「新法」といいます。)は,平成25年9月5日以後に開始した相続について適用することとしています。

(法務省公式ホームページより引用)

 

すなわち、「嫡出子(ちゃくしゅつし)」の家族としての権利が拡充されたといえます。

 

「同性婚」不認可の事案と比較すると、日本政府は血縁関係のある家族は「家族」として柔軟に認可するが、血縁関係のない「家族」、もしくは血縁関係のない子どもを迎える可能性の高いカップルを、「家族」として認可するのには腰が重いともいえます。

LGBTQ+カップルの相続問題

国内でLGBTQ+カップルが結婚するには、内縁関係を選択せざるを得ません。内縁関係において最も気をつけなければならないのが、相続です。

 

相続は戸籍上のつながりにもとづくため、パートナーは相続権をもつことができないからです。それでは、パートナーに遺産をのこしたい場合にはどいった対策が有効なのでしょうか。

 

専門家によると、最も有効な手段は、生前に「公正証書遺言」を準備することです。

 

「公正証書遺言」は一般的な「自筆証書遺言」とは異なり、公証役場の公証人が関与し、公正証書としてのこす遺言書のことです。原本が必ず公証役場で保管されるため、隠匿や改ざんされる恐れが非常に少ないのが特徴です。

 

もし、一般的な「自筆証書遺言」で遺言をのこし、亡くなった被相続人のきょうだいが相続分を主張した場合に、訴訟に発展する恐れがあります。

 

実際にこうした事案は社会問題化しており、きょうだいの「他人に財産を渡したくない」「そんな遺言は無効にしてやる」という心ない言葉どおりに判決が出ることもあります。

 

金銭的なダメージのみならず、「亡くなったパートナーの希望を叶えられなかった」という傷を、伴侶を亡くした悲しみととも当事者が抱えてしまう事案もあります。

 

複雑な社会問題は、時に安易に結論を出さずに「議論しつづけること」も重要です。同時に、結論を出すために議論を終わらせ、「法整備」に踏み切ることもまた、重要であるといえるのではないでしょうか。

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