(※写真はイメージです/PIXTA)

介護にかかるお金は、介護サービス費だけではありません。どんな費用がどれだけかかるのでしょうか? 安藤なつ氏(メイプル超合金)、介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)より、介護費用の注意点と軽減制度を解説します。

「介護サービス費“以外”にかかるお金」は意外と大きい

安藤さん「介護にかかるお金には、介護サービス費以外にもある気がするのですが、どんなものがあるのでしょうか?」

 

太田先生「実は、介護サービス費以外にかかる費用が意外と大きいということがあるんです。」

 

安藤さん「そうなんですか! それは、中身を知っておくべきですね。」

 

太田先生「図表1のグラフは、家計経済研究所の『在宅介護のお金と負担』の介護サービスへの支出額と、おむつや介護食などの介護用品への支出を要介護度別に表したものです。このデータによると、ほとんどの要介護度で介護用品への支出が介護サービス費と同等という結果になっています。」

 

出典:家計経済研究所「在宅介護のお金と負担 2016年調査結果」
[図表1]在宅介護でかかる1ヵ月あたりの介護サービスへの支出と介護用品(おむつ代や介護食など)の支出の平均額 出典:家計経済研究所「在宅介護のお金と負担 2016年調査結果」

 

■働く子どもの半数以上は「親の介護費用を負担していない」

安藤さん「介護サービス費は、介護保険で費用を抑えることができるけれど、他にもかかる費用はあるんですね。」

 

太田先生「そうですね。介護用品にかかる費用は、要介護度が上がるほど高くなっていきますね。」

 

安藤さん「親に払えるかな?」
 

太田先生「図表2のデータは、働いている子どもが、介護を必要とする親に対し、どんな費用の負担をしているかを表しています。中には、介護にかかるお金だけじゃなく、生活費や病院にかかる費用を負担している子どももいます。でも、『負担していない』が半数以上ですよ。」

 

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」2012年
[図表2]介護を必要とする親への費用負担の有無(就労中の子ども) 出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」2012年

 

安藤さん「確かに、半数以上の人は負担していませんね。でも、実家が遠いと交通費がかかりますね。心づもりをしておかなくちゃですよね。」

介護サービス別に見る「全額自己負担になる費用」

太田先生「次に、図表3で介護サービスを受けたときに、全額自己負担となる費用について、具体的に解説していきますね。」

 

出所:安藤なつ・太田差惠子著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)より
[図表3]全額自己負担となる費用を覚えておこう! 出所:安藤なつ・太田差惠子著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)より

 

太田先生「訪問介護の場合、おむつ代やガーゼ代などの消耗品については、介護に必要なものであっても全額自己負担になります。いうまでもありませんが、調理をサポートしてもらう場合の食材費も自己負担です。でも、おむつ代については、費用を抑える方法がありますよ。」

 

安藤さん「ぜひ知りたいです!」

 

■自治体によっては「紙おむつの現物支給」や「購入費用の一部助成」を実施

太田先生「おむつ代については、現物給付として紙おむつを支給する自治体と、購入費の一部を助成する自治体があります。でも自治体ごとに行っているサービスは異なるので、おむつのサービスは実施していないところもあります。詳しくは、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談してみましょう。

 

デイサービスなどの通所サービスを利用した場合は、食費やおやつ代、レクリエーション活動の費用は、全額自己負担になります。一方で介護保険でのショートステイや特別養護老人ホームなどに入居した場合は、おむつ代は介護費に含まれています。宿泊費はかかりますけど。」

 

安藤さん「ショートステイの場合は、おむつ代は無料! でも宿泊費はかかるんですね~。」

 

太田先生「そうですね。ショートステイは、施設へ泊まる形になりますからホテルへ宿泊すると考えれば、宿泊費は支払う必要がありますよね。」

 

安藤さん「ざっくりいうと、要介護じゃなくても必要なもの、つまり、食事、レクリエーション活動、宿泊費などは、自分でお金を払う必要があるということでしょうか。」

 

 

太田先生「はい、そのイメージに近いです。その他に、病院で治療が必要になれば、医療費がかかることも忘れずに覚えておきましょう。」

 

安藤さん「そうですね。年を取るほど、病院にかかる頻度は高くなりそう。」

 

太田先生「医療費と介護サービス費については、高額になると一定額は取り戻せる制度がありますし、非課税世帯の場合は、費用負担が軽くなる制度もあるのでうまく利用するようにしてください。」

次ページ「特定入所者介護サービス費」で部屋代・食費を軽減

※本連載は、安藤なつ氏、太田差惠子氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門

知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門

安藤 なつ(メイプル超合金)
太田 差惠子

KADOKAWA

肝心なとこだけ知っておく。親と自分のお金と時間を守る、介護の超入門書。 「介護保険制度」のサービスを使うには、いつ、だれが、どんなタイミングで認定を受けるの? 住まいの改修費や、介護ツールのレンタルにも給付…

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