日本人の平均年収が減りはじめたのは1997年以降のことです。バブルを迎えて日本経済が世界のトップクラスになり、しかも1997年時点では一人当たりGDP(国内総生産)が世界4位だったにもかかわらず、平均年収は14位に甘んじていました。より大きな問題は、日本人の給料がその後上がっていないことです。坂田拓也氏が著書『日本人の給料 平均年収は韓国以下の衝撃』(宝島社)で解説します

日本人の給料は上がらないのに米国は2倍に

■20年間で平均年収が2倍になったアメリカ

 

アメリカはグーグル、アマゾンをはじめとした巨大IT企業が世界を席巻し、ウォール街(金融街)が今も健在だ。

 

なぜ平均年収は韓国以下なのか。日本人の給料が上がらない謎を明らかにする。 詳しくはコチラ>>>
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正規雇用のフルタイムワーカーの平均年収を2000年以降の5年ごとに見ると、432万円→502万円→586万円→660万円→786万円と猛烈な勢いで上がっている。

 

過去20年間で平均年収は82%増、ほぼ2倍になった(調査会社「スタティスタ」)。しかも世帯年収の中央値は2011年以来初めて、コロナ禍の2020年に前年比2.9%減少したが(米国勢調査局)、フルタイムワーカーの平均年収は上がった。

 

ニューヨーク市マンハッタン在住20年超のジャーナリスト、肥田美佐子氏はこう話す。

 

「大手テック(IT)企業や金融など成長産業の給料の伸びが目立ち、データサイエンティストなど新しい職種が生まれる一方で、デジタル化の進展により、需要が減少の一途をたどる事務職、旅行代理店業、税務申告作成業、営業、小売り、カスタマーサービスなど、もともと給料が高くない業種の伸びがさらに鈍化し、格差が激しくなっています。

 

高給職は、給料に加えて質の高い医療保険から無料のランチまでさまざまなフリンジベネフィット(福利厚生)が付きますが、低給職はそれも充実していません。連邦法では病休時の有給を義務づける規定がなく、病休すれば無給になる企業もあり、実際の格差はもっと大きいでしょう」

 

職業別の平均年収を見ると、大学などのコンピュータ科学専門教諭は1085万円、データサイエンティスト・数学関連全般は1143万円、エコノミスト・経済学者は1330万円、弁護士は1638万円、歯科医は2049万円、家庭医は2358万円、外科医は2768万円……。

 

一方で平均年収が低いのは、旅行代理業513万円、営業関連503万円、簿記・会計・監査事務485万円、カスタマーサービス424万円、交通機関の運転手410万円、小売り店員319万円、調理師全般310万円、ホテル・モーテル受付係296万円……。

 

なお、警察官は770万円、消防士は620万円と比較的高い(米労働省労働統計局2020年5月)。

 

しかし給料の伸びと同様に物価も上昇している。

 

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本連載は北見昌朗氏の著書『日本人の給料 平均年収は韓国以下の衝撃』(宝島社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

日本人の給料

日本人の給料

浜矩子、城繁幸、北見昌朗、坂田拓也、野口悠紀雄 ほか

宝島新書

日本人の平均年収は20年の長きにわたり長期減少が続いている。2000年代には世界経済が伸長して日本の企業の業績も向上したが、給料は上がるどころか、下がり続けた。 日本人の給料減少は先進諸外国と比較すると際立ってくる。…

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