(写真はイメージです/PIXTA)

遺言書の内容に納得がいかないとき、なんとかして異議をとなえることはできないのでしょうか。岡野相続税理士法人の岡野雄志税理士が、子どもがいない「おふたりさま夫婦」の相続において起こりえる、配偶者と兄弟姉妹の間のトラブルについて解説します。

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      兄弟姉妹は法定相続人になれるが遺留分は認められない

      相続人が配偶者、弟1名、妹1名として、民法で示されている「法定相続分」に従って、相続財産を配分すると考えてみましょう。相続割合は以下のようになります。

       

      配偶者:3/4
      弟と妹:各1/8(残り1/4を1/2ずつ)

       

      そして、配偶者以外の相続人が、「全財産を配偶者へ」という遺言内容に納得しないとしましょう。第1順位の子や孫、第2順位の父母や祖父母なら、法定相続人に最低限保障される遺産取得分「遺留分」を主張し、家庭裁判所を通して「遺留分侵害額請求」ができます。

       

      ところが、第3順位の兄弟姉妹にはその権利がありません。民法第9章「遺留分」に関する第1042条(遺留分の帰属及びその割合)には、以下の文言があります。

       

      兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

      一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
      二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

       

      なぜ、兄弟姉妹には「遺留分」が認められていないのでしょうか。民法第889条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)の、一の文言に注目してみましょう。

       

      次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

      一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
      二 被相続人の兄弟姉妹

       

      つまり、親族の相続権は被相続人と「近い者」が優先され、兄弟姉妹は両親や祖父母、子や孫といった直系の親族よりも遠い関係だからということになります。

       

      また、民法第752条には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められています。経済的にもお互いに暮らしを支え合う最も近い関係であることから、常に配偶者は相続人として優先権が与えられているのです。

       

      そういう意味では、相続財産をすべて配偶者に渡したい「おふたりさま相続」の場合、「配偶者に全財産を相続させる」と遺言書に残すことは非常に有効と言えます。民法第908条にも以下のような(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)が定められています。

       

      被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

       

      では、兄弟姉妹がどうしても遺言内容に不満な場合、異議をとなえる方法はないのでしょうか。

       

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