増え続ける超高層マンション、いわゆる「タワマン」。以前は購入者の多くが富裕層でしたが、最近は、「頑張ってタワマン購入」の共働き世帯が増えているといいます。しかし購入前に考えておきたいのが、数十年後のタワマンの姿。憧れが崩れていく姿をみていきましょう。
もうすぐ訪れる「タワマン大崩壊時代」…頑張って購入した「サラリーマン」の悲鳴が聞こえる

なぜタワーマンションは増え続けているのか?

不動産経済研究所『超高層マンション動向』によると、2020年時点、首都圏には917棟のタワーマンションが竣工。そのうち分譲が759棟、賃貸が158棟でした。2021年以降に誕生するタワマンは、全国では280棟、そのうち首都圏にできるのは173棟となっています。

 

そもそもタワーマンションという法的な基準はありません。建築基準法や小穂某法では、31m、60m、100mと、建物の高さによって基準が設けられていることから、一般的に高さ60m以上、階数にするとおおよそ20階以上のマンションをタワ―マンションと呼んでいます。

 

タワーマンションは、高さ31m以上の建物に対して義務となっている中央管理室の設置に加え、構造強度について、地震時の揺れについて検証し、震度6強から7の地震の際、高さに対する揺れがおおむね1/100以内、つまり高さ100mの場合は、最上階の揺れが振幅1mを越えないように設計。国土交通省の大臣認定を受けることが義務となっています。

 

また設備の安全性については、エレベーターであれば、震度6強〜7の地震でもエレベータのかごが脱落しない、震度5弱程度の地震ではエレベーターが直ちに停止するなどの基準が設けられています。

 

また火災の際の対策も気になるところ。消防法では高さ31m以上で非常用エレベーターの設置が義務付けられているほか、じゅうたんやカーテンなどは防炎物品を使用するよう定められています。さらに高さ100m以上であればヘリコプターの緊急離着陸場の設置は必須です。

 

そのような厳しい基準のうえで造られているタワーマンションですが、日本で初めて登場したのは、1976年、現在の埼京線「北与野」、総戸数463戸の大規模マンションである「与野ハウス」といわれています。

 

当時は、容積率や日照権などの規制が厳しく、建設には広大な敷地が必要でした。そのため、比較的土地を確保しやすい郊外や河川近くが選ばれていました。

 

そのような状況が変わったのが1997年。建築基準法が改正され、共用部分が容積率算出上の延床面積に算入されなくなりました。また都市計画法の改正により、容積率も緩和。それによりタワーマンションが建てやすい条件が揃うことに。以降、人口密集地にタワマンが乱立することになったのです。