(写真はイメージです/PIXTA)

共同購入や相続などが原因で発生する「共有不動産」。トラブルが生まれやすいため、可能な限り解消した方が望ましいといえます。本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が共有不動産が生まれる原因とその解消方法、またその際の注意点について詳しく解説します。

不動産の共有状態を解消する「3ステップ」

共有となっている不動産の共有状態を解消するには、次のステップで対応を検討することとなります。

 

1.当事者同士で話し合う

はじめに、共有をしている当事者同士で話合いを行うことが考えられます。

 

たとえば、長男と二男で2分の1ずつの共有となっている土地の共有状態を解消したい場合に、長男から二男へ土地の半額分の金銭を支払う代わりに、二男が持っている分の土地の名義を長男へ変えるよう打診するなどです。

 

共有者間の関係性がよく、かつ提案した対価が十分なものであれば、応じてもらえる可能性が高いでしょう。

 

当事者同士の話合いさえまとまるのであれば、正当な対価の支払いで共有状態を解消する方法であっても、無償で共有持分をもらう方法であっても、第三者へ売却して対価を分ける方法であっても、その解消方法は自由です。

 

しかし、そもそも土地の利用方法について対立がある場合や共有者間の関係性がよくない場合、「お金は一切払わないけど名義を自分に移せ」など一方が無理な要求をする場合などには、交渉がまとまらない可能性が高くなります。

 

争いが予見される場合などには、当事者同士での話合いの前に弁護士へ相談して、話合いの方向性を決めておくといいでしょう。

 

2.共有物分割請求調停をする

共有物分割請求調停とは、調停委員の立ち合いのもと、裁判所で共有物分割へ向けた話合いをすることです。調停委員が立ち会うとはいえ、あくまでも当事者同士での話合いの場ですので、裁判所が決断を下してくれるわけではありません。

 

ただし、第三者である調停委員が立ち会うことで、ある程度冷静に話合いがしやすいという点や、話合いの結果として記録された調書は法的な効力を持つため、いったん合意した内容を後から蒸し返されるリスクを減らせる点がメリットだといえます。

 

なお、裁判手続のなかには、たとえば相続での遺産分割のように、訴訟提起の前に必ず調停を行わなければならないという「調停前置主義」が取られているものも存在します。

 

しかし、共有物分割請求では調停前置主義は取られていません。そのため、解決を急ぐ場合や調停をもってしても話合いがまとまる見込みが薄いと考える場合などには、調停を経ずに訴訟を提起することも可能です。

 

3.共有物分割請求訴訟をする

当時者同士での話合いがまとまらない場合には、共有物分割請求訴訟へと駒を進めます。
共有物分割請求訴訟とは、裁判所に共有状態の解消方法を決めてもらうための訴訟です。

 

なお、裁判手続の途中でも、裁判所が決断を下す前に、当事者同士で和解をすることもできます。裁判所が下す主な判決例は、次で解説します。

 

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次ページ「共有物分割請求訴訟」の主な判決パターン

本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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