(※写真はイメージです/PIXTA)

近い将来に実施されるであろう税制改正によって、遅かれ早かれ贈与と相続の一体化、そして贈与税の基礎控除の廃止が想定されます。そんな時代に備えて、どのような相続税対策が考えられるでしょうか。本稿では、税理士法人レガシィ『「生前贈与」のやってはいけない』(青春出版社)より、暦年贈与の代わりになる「4つの対策」を解説します。

4. 海外疎開をする

■「相続税率が低い・かからない国」へ家族ごと移住

日本では相続税が最大55%課税されますが、国によっては相続税率がずっと低かったり、ゼロだったりというところもあります。たとえば、シンガポール、マレーシア、カナダ、オーストラリアなどは相続税がゼロです。

 

そこで、そうした国に移住することで相続税の節税をしようというのが、「海外疎開」の考え方です。

 

もちろん、それには条件があります。被相続人と相続人がどちらも(親子の場合が多いのですが)、移住してその国に10年以上居住してはじめて、現地での金融資産に対して日本の税金がかからないことになります。それに加えて、相続財産も海外に移動させる必要があります。

 

親子のどちらかだけが海外移住をしても、もう一方が日本に住んでいる限り、日本の税金がかけられてしまいます。

 

少し前までは、節税のためだからといって、わざわざ海外に住むのは嫌だという人が圧倒的に多く、海外疎開の事例はわずかでした。しかし、最近になって、子どもを国際人として活躍させるために、海外で教育を受けさせたいというケースが出てきました。とくにシンガポールは、相続税がゼロというだけでなく、治安がよく、英語や中国語を学ぶことができるために人気があります。

 

80歳の親がこれから海外に住むのは難しいでしょうが、50歳くらいの人が将来を見据えて子どもとともに移住する事例は増えていくかもしれません。

 

 

「書類の上だけで住民票を移しておいて、実際は1年の大半を日本で暮らしていても大丈夫?」

 

そう考える人がいるかもしれませんが、それは税務署を甘く見すぎています。税務署員はさながら映画やドラマのように、近所の聞き込みをしたり、ごみ出しをチェックしたりして、税金逃れがないか調べています。

 

資産の海外移転についても、多額の資産を短期間に移動させるなど、不審なものは摘発される可能性があるので注意してください。

 

 

天野隆

税理士法人レガシィ代表社員税理士、公認会計士、宅地建物取引士、CFP

 

天野大輔

税理士法人レガシィ代表社員税理士、公認会計士

 

※本連載は、税理士法人レガシィ、天野隆氏、天野大輔氏による共著『「生前贈与」のやってはいけない 知らないと損する相続の新常識』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生前贈与」のやってはいけない 知らないと損する相続の新常識

「生前贈与」のやってはいけない 知らないと損する相続の新常識

税理士法人レガシィ
天野 隆
天野 大輔

青春出版社

近い将来、贈与税が改正されるのでないか、として注目を集めている「生前贈与」。相続対策の王道ともいえる節税術が使えなくなる前に、「駆け込み贈与」をしようと考える人が増えています。しかし、単に贈与をすればいいわけで…

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