
晩婚化が進み、「教育費」「老後資金」をセットで考えなければならない世帯が増加しています。本記事では、「日本人の生活のリアル」について、国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年分)などをもとに解説していきます。
【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
40歳男性の「あまりに辛い事情」
39歳のときに3つ下の女性と結婚した島田さん(40歳・男性/仮名)。同年一人娘が生まれましたが、日々の生活に強い不安を覚えていると語ります。月の収入は手取りで30万円程度。貯金は夫婦合わせて500万円です。
「今後の教育費や妻と僕の老後資金について考えると、惨憺(さんたん)たる思いがします。娘が20歳になるとき、僕は定年間際じゃないですか。大学在学中の独り立ちもできていない子どもを抱えて、大丈夫なのかと。もちろん嘱託社員か何かで働き続けるつもりではいますが、老い先を思うと、暗い気持ちになります」
国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年分)によると、日本の給与所得者数は5,245万人で、平均給与は433万円。正規社員496万円、非正規社員176万円となっています。島田さんの手取り30万円は、年収だと450万円ほどの計算ですからほぼ平均といえます。
今年で40歳の島田さん、今まで貯金はしてこなかったのでしょうか。意外な事情を明かしました。
「まさかこの年になって」明かされた親との金銭問題
「親が飲食店経営で失敗したんです。2年ぐらい居酒屋を営んでいましたが、最後のほうは赤字が続き、僕がかなり資金援助をしていました。初期費用も多少支援していたので、トータルで支払った額は400万円を超えているかと思います。……正直、30代に入ったときには、結婚を諦めていました。趣味も物欲も特にないし、若いころ両親には散々迷惑をかけたので、恩返しの気持ちもありました」
「本当に、生涯独身のつもりでいたんです。まさかこの年になって、結婚して、子どもまでできるとは思っていなかった。もちろん幸せですが、自分のお金をもっと計画的に蓄えていればと後悔しています。親には『お金を返してほしい』なんて言えないし、というか、もう何も残ってないでしょうし」
厚生労働省『国民生活基礎調査の概況』(2019年)によると、全世帯では、「貯蓄がある」は81.9%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1077万4000円となっています。高齢者世帯では、「貯蓄がある」は80.1%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1213万2000円という結果です。
もちろん上記は平均値であり、細かい内訳を見るとまた違った様相が露わになります。