国税庁の「民間給与実態調査」によると、正規と非正規を合わせた日本人の平均年収は、1997年の467万3000円をピークとして下り坂を転げ落ち、リーマンショック翌年の2009年には405万9000円まで下がりました。日本人の給料が上がらない理由とは。北見式賃金研究所長の北見昌朗氏が著書『日本人の給料 平均年収は韓国以下の衝撃』(宝島社)で解説します。

赤字2期連続でコロナ禍を迎えた中小企業の危機

■中小企業を直撃した求人難

 

―─大企業と中小企業、東京と地方、男性と女性……こうして格差が開いた原因は何ですか?

 

北見 中小企業で言えば、皮肉にも見えますが大きな原因は求人難です。中小企業の間では2014年頃に求人難の兆候が見られ、16年、17年は求人難の話題ばかりでした。

 

アベノミクス以降の正規従業員の数は8年間で473万人増えましたが、その間に中小企業で深刻になったのが求人難でした。とくに若い人を採用できないため、仕方なく初任給を上げたのです。しかし中小企業では全体の人件費を上げるほど利益が出ないため、中高年の昇給を止めることになる。この間、中高年の昇給がゼロになった中小企業を多く見てきました。それでも初任給を上げた分を吸収できないため、出血しながら給料を出しているというイメージです。

 

なぜ平均年収は韓国以下なのか。日本人の給料が上がらない謎を明らかにする。 詳しくはコチラ>>>
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とにかく問題は若い人材の求人難です。初任給を上げて採用できてもすぐに辞めてしまう。若い人を採用できないため、工場などではベトナム人などの外国人労働者が増えたのは周知のとおりです。若い人材は外国人労働者で占められ、一方で日本人の従業員はどんどん高齢化して60歳、70歳になっても働いており、中小企業では従業員の平均年齢が40歳を超えるところが少なくありません。

 

人件費により赤字になった企業も少なくありません。一番危ないのは、赤字が2期連続で続いてコロナ禍を迎えた中小企業です。コロナ禍で3期連続赤字となり、まして債務超過に陥ってしまえば銀行も救ってくれないでしょう。

 

コロナ対策として、無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資が実行されたため、しばらくは潰れません。それにこうした中小企業に融資している地方銀行は地元の評判があるため、しばらくは潰さないでしょう。しかし、地方銀行でも行内格付けによってこうした企業は「要懸念先」とか「破綻懸念先」にすでに分類されているし、潰す企業はリスト化されていると思います。

 

北見 昌朗
北見式賃金研究所所長

 

 

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    本連載は北見昌朗氏の著書『日本人の給料 平均年収は韓国以下の衝撃』(宝島社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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