(※写真はイメージです/PIXTA)

30年以上没交渉だった兄が、孤独死――。警察の連絡を受た弟は、状況に追われるまま葬儀や財産整理を「持ち出し」で行うが、亡き兄には、本来このすべてを引き受けるべき娘がいた。だが、ようやく連絡を取った姪の言動は驚くべきものだった。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実例をもとに、日本の孤独死の厳しい実情を解説する。

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    「いちいち知らせてくるんじゃねえ!」

    Aさんはまずは書面で、兄の娘に手紙を書く。まず父が死亡したこと、そして葬儀代をAさんが支払ったこと、まず電話でいいので連絡をほしいことなどを記載した。

     

    殆ど面識がないとはいえ、姪にあたる親類だ。年頃の女性だし、父の死亡を知って悲しむかもしれない、そんな思いだったAさんに兄の娘から思いもよらぬ電話がかかってきた。

     

    「おい、なんでお前が私の住所知ってんだ!」

     

    「あんな父親が死のうが知ったことか。いちいち知らせてくるんじゃねえ!」

     

    若い女性のいきなりの怒号に近いような口ぶりにAさんは絶句した。

     

    その後も兄の娘は支離滅裂な言葉を繰り返す。自分の人生が上手くいかないのは、父親がしょうもないせいだ、などと喚くばかりで会話にならない。それでもAさんは諦めずに要点を話す。

     

    何故か警察に娘ではなく、Aさんに遺体の引取りの連絡が来たこと。

     

    Aさんが火葬や葬儀を費用を出して行ったこと。

     

    また兄には預金と自宅不動産など、若干の財産と呼べるものがあること。

     

    遺骨の引取りもあるので、相続するのならそれで構わないので、遺骨や相続手続きなど、親族として協力してほしいことだ。

     

    すると、兄の娘の対応が少し変わる。

     

    「警察からは何度も連絡があったが、私には関係がないので無視をした。相続手続きについては、協力してやるかやらないかは追って考える。通帳などすべて送ってくれ。遺骨は家が狭いので、とりあえずは送らないでくれ」

     

    Aさんは仕方ないので、通帳や不動産の権利証(登記済証)らしきものを、兄の娘に郵送で送ることにした。

    姪の代理人を名乗る弁護士から届いた、突然の通知

    それから半年以上が経過した。待てど暮らせど兄の娘からの連絡はない。

     

    Aさんが何度か電話をしたが返事がない。

     

    流石のAさんも痺れを切らして再度、書面にて連絡を取ることにした。

     

    すると2週間後、兄の娘の代理人を名乗る弁護士から突然書面で通知が来た。Aさんが慌てて、書面に記されていた弁護士事務所に連絡をすると、

     

    「相続の手続きはすべて終わった。詳細は言えない。法定相続人ではないあなたには関係ない」

     

    と、一方的に繰り返すばかりだ。

     

    せめてAさんが、すでに負担した諸々の葬儀や火葬、検死などの費用について支払ってほしい旨を伝えると、

     

    「そんな法的根拠はない。一切の支払いはできない。依頼人は『あなた方が勝手にやったことだろう』と言っている」

     

    との回答だった。

     

    法律のことは詳しくないが、さすがにAさんは立腹した。しかし喧嘩をしても仕方ないと思い、せめて遺骨だけは引き取ってほしい、と弁護士に伝えると、

     

    「依頼人としては遺骨は引き取るつもりは一切ない。依頼人は『その辺に捨ててもらっても構わない』と言っています」

     

    との回答だった。

     

    次ページ法的判断と、昨今の遺族の実情に「著しい乖離」あり

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