会社は、あなたの「愛社精神」に報いてくれるでしょうか。あなたが居ないと仕事が回らなくなるでしょうか。たぶん、あなたが辞めても、他の人があなたの代わりに充分に穴埋めをしていきます。会社を辞める基準はあるのでしょうか。経済ジャーナリストの荻原博子氏が著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)で解説します。

これから20年を、ソン・トクで考える

今、あなたが考えなくてはいけないのは、現実的な観点から、この会社に居たほうがトクなのか、辞めて新しいことを始めたほうがトクなのか、ということです。

 

そのために、会社に居ることのメリットとデメリットを、1枚の紙に書き出してみましょう。なぜ、1枚の紙かといえば、1枚に書くと、メリットとデメリットのどちらが大きいか判断しやすいからです。

 

会社に残るメリット

・仕事を失うリスクがなくなり、収入が確保できる。
・「厚生年金」「健康保険」に加入できるので、社会保障が手厚い。
・有給休暇や各種休暇など、勤続年数に応じて取れる休みが増える。
・慣れた仕事の延長で、今のスキルでやっていけるので楽だ。
・企業が有名企業なら、娘が結婚する時や金融機関からお金を借りるのに有利。

 

会社に残るデメリット

・役職定年などで、給料が下がる。
・役職定年で、部下の下で働かなくてはならなくなるかもしれない。
・会社が傾いたら、会社と一蓮托生の人生になる危険性がある。
・嫌いな調子のいい同僚が、自分よりも出世していくのがたまらなく嫌だ。
・50代なら転職できても、60代になると転職も起業もできなくなりそうだ。

 

一例ですが、こうやって実際に書き出してみると、漠然と考えているよりも現状認識がしっかりできて、自分が本当はどうしたいのかが見えてくるはずです。

 

もし、会社に居続けるなら、期間と目的をはっきりさせ、会社にいるあいだにスキルアップなどもしておきましょう。

 

サラリーマンなら、厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講してこれを修了すると、受講にかかった費用の20%(4000円以上、上限10万円)を戻してもらえる「教育訓練給付制度」が使えます。

 

たとえば、資格を取るのに20万円かかったなら、受講後に領収書と教育訓練証明書を発行してもらってハローワークに申請すれば20%にあたる4万円が戻ります。

 

3年間以上雇用保険に加入していれば使えますが、初回は、雇用保険に1年以上加入していれば使えます。また、会社を辞めても離職後1年以内なら利用可能。

 

■「希望退職」を考えるべき理由

 

もし、会社に居てもソンのほうが大きそうだったら、会社を辞めるのもアリです。いきなり辞めるのではなく、会社で給料をもらいながら着々と辞める準備をする。そして、もし会社の業績が悪くなって、「希望退職」を募るようなことになったら、会社を辞めるチャンスが来たということです。

 

会社が募る退職には、希望退職と「早期退職」があり、どちらも退職する時に割り増しの退職金を支払われるケースが多いです。

 

ただ、希望退職と早期退職は、まったく別ものと思ったほうがいいでしょう。

 

希望退職は、会社の業績が悪いので人減らしのために退職者を募るものです。ですから、多くの場合、「会社都合」の退職となります。会社のピンチに対応するものなので、期間限定のケースも多く、退職に応じないという選択もできます。

 

いっぽう、早期退職は、会社の活性化のために常に退職者を募集しているところが多く、応募した人は「自己都合」の退職となります。

 

退職する時に、「会社都合」と「自己都合」では、失業保険から給付を受ける時に、雲泥の差が出てきます。会社都合だと、書類を提出してから7日間待機すれば給付が始まりますが、自己都合では、さらに2ヵ月待たなくてはなりません。しかも、もらえる金額も、会社都合のほうが多くなります。

 

ですから、できれば「希望退職」を狙いましょう。

 

荻原 博子
経済ジャーナリスト

 

 

本連載は荻原博子氏の著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないとヤバい老後のお金戦略50

知らないとヤバい老後のお金戦略50

荻原 博子

祥伝社

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