「あれほど働いてきたのに?」年金受給額に呆然…夫婦の老後生活、危機的状況【税理士が解説】

「あれほど働いてきたのに?」年金受給額に呆然…夫婦の老後生活、危機的状況【税理士が解説】
※写真はイメージです/PIXTA

私たちの最大の関心事である老後資金。この最大の財源は「公的年金」ですが、これには「国民年金保険」と「厚生年金保険」があります。今回は、これらの年金の受給要件、保険料と年金額について、専門家が平易に解説します。

平均月収43万円会社員+専業主婦で、年金月額22万円

生徒:定年まで会社員として働いた場合は、厚生年金ももらえるんですよね? いつからもらえるんですか?

 

先生:これも同じく65歳だね。ただし、会社員を辞めて自営業をやったとしても、会社員として厚生年金に加入している期間が最低1ヵ月以上必要なんだ。もちろん国民年金に最低10年間は加入していなければいけないのは、先ほど話した通りだね。

 

生徒:厚生年金の保険料は、いくら支払うんですか? 

 

先生:厚生年金の保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算されるんだ。つまり、たくさん給与をもらっている人のほうが、保険料が多く取られることになるね。ちなみに、標準報酬月額というのは、毎年、4月、5月、6月の3ヵ月の給与の金額の平均値だね。2022年の保険料率は、18.3%だけど半分会社が負担してくれるから、私たちが支払うのは9.15%ということだね。たとえば、毎月65万円稼いでいる人だと、65万円×9.15%で4万8,495円の保険料という計算になるわけだ。

 

生徒:これに加えて、国民年金保険料1万6,590円が取られるんですか?

 

先生:いや、会社員は厚生年金の保険料だけ支払っておけばいい。国民年金の保険料は、それに含まれているから。

 

生徒:それで、将来の厚生年金はいくらもらえるんでしょうか?

 

先生:この計算はとても難しいんだよ。基本的に、給与の金額と加入月数に比例すると考えたらいいかな。たとえば、平均的な月収43万9000円をして、60歳まで40年間働いたケースを考えてみようか。奥様がずっと専業主婦だったとすれば、夫婦2人分の年金は、夫1人の厚生年金と夫婦2人分の基礎年金になるね。これらを合算すれば、2022年度だと月に22万円くらいもらえるんだ。ただし、この年金額は、毎年減少しているから、君たちが65歳になるころには、もっと少なくなっているだろうね。

 

出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
[図表2]令和3年度と令和4年度の年金額の比較 出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」

 

生徒:えーっ!? 夫婦2人で月に22万円だけですか!? それでは、ゆとりある生活はできませんね…。年金をもっと増やす方法はないのでしょうか。

 

先生:それはね、65歳から年金をもらうのではなく、もっと遅い時期から年金をもらい始めるという方法があるね。「繰下げ受給」という制度だ。

 

生徒:どれくらい増えるのですか?

 

先生:希望すれば、75歳まで遅らせることができて、繰下げる月数を計算して、1ヵ月あたり0.7%が増やされるんだ。例えば、75歳まで繰下げると、75歳になるまでの月数である120ヵ月×0.7%で、年金額は84%増やされることになるね。それが死ぬまで続くんだね。

 

生徒:84%増額ということは、年金額は満額の1.8倍になるということですね。

 

出所:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」
[図表3]年金の繰り下げ受給のイメージ 出所:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」

 

先生:ちなみに、夫婦共働きだと、奥さんのほうも厚生年金がもらえるから、年金額がもっと増えるよ。先ほどのケースだと、年金額は月に31万円くらいかな。

 

生徒:これからは夫婦共働きしなければ、やっていけないかも…。

 

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