放置すると痛みが残る場合も…その他の「肛門の痛み」
その他、肛門痛として筆者の外来に来院されることが多いのは「便秘」と「悪性腫瘍」です。
便秘もひどくなると激しい肛門痛を伴うようになり、救急車で来院されることも少なくありません。この場合、CTでみてみると直腸内~S状結腸内に多量の便がつまっています。
この状態になると、自宅で行う浣腸程度では便が出ず、摘便や高圧浣腸で便を摘出することになります。便を出すと、急激に痛みが消失します。
大腸癌の場合、出血、腹部不快感、便秘などで来院されますが、肛門に近い癌ほど肛門部不快感が酷くなり肛門痛が出現します。肛門癌の場合はさらに非常に症状が酷くなり痔が悪化してきたと訴えられる方が多いです。
癌の脱出とともに激しい肛門痛が出現し、頑固な掻痒感(そうようかん)を訴える方もいます。肛門癌を治療する場合は直腸切断術になり肛門を切除してしまう関係で人工肛門になってしまうのですが、癌の組織型が多彩なのが特徴です。
なかでも扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は程度が軽い場合放射線化学療法がよく効き、肛門を残すことができる場合があります。放置せず早く受診することを強くおすすめします。
肛門ヘルペス、肛門子宮内膜症、肛門異物による肛門痛もときどき見かけます。
肛門ヘルペスは肛門回りに水泡を伴う発疹ができ激しい肛門痛で来院されます。ヘルペスはいい治療薬があり、適切な時期に投与すると比較的早くよくなります。放置し症状が悪化した場合、ヘルペス後疼痛という頑固な痛みが残ることがあります。肛門子宮内膜症、肛門異物も治療しないと症状がとれません。
また、肛門痛を訴えて来院された方が骨盤内臓器や腰椎、脊椎の病気だったケースもあります。特に筆者が印象に残っているのは、激しい肛門直腸痛で来院されCTを撮ったら仙骨の腫瘍だった、という方です。この数年で2人経験しています。
肛門痛は良性疾患のことが多いですが、悪性腫瘍が見つかるケースも少なくありません。肛門痛を感じたら放置せず、早く受診することをおすすめします。
中島 康雄
森山記念病院
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