(※写真はイメージです/PIXTA)

歯科矯正の治療期間は一般的に2~3年です。しかし、患者のことを考えたら、もっと早く治ったほうが絶対にいい。しかも同じクオリティで早く治ったら、誰でもそのほうがよいと思うでしょう。治療期間の短縮は可能なのでしょうか。歯科医師の成田信一氏が著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)で解説します。

歯列矯正の治療期間の短縮には価値がある

■結核にかかり「短期間の治療」の必要性を痛感

 

私が「短い治療で、かつクオリティも高めていく」ことを目指した背景には、大学3年の時に結核にかかった私自身の体験があります。

 

2カ月ほど入院生活を送り、退院後、ちょうど大学6年になるまでの2年半、ずっと薬を飲み続けていました。1日3回です。続けるのが本当に大変でした。

 

今でも結核にかかる人はいますが、知り合いの医師によると、治療期間は私の頃より短くなっているそうです。

 

なぜ短期間で済むようになったのかというと、私の時代は、3種類の薬を服用していましたが、今は服用する薬が4種類になって、半年ほどで治るようになったというのです。

 

その話を聞いた時、私はすでに矯正医として開業していました。歯列矯正の世界では、なぜか短期間で治療することがよしとされておらず、たとえば私が1年ちょっとで治したりすると、「どうせろくに治ってないのだろう」などと指摘されることがあります。

 

けれども、結核のように放っておいたら亡くなるかもしれない病気の場合、「早く治りましたが、亡くなりました」では、話になりませんよね。

 

そういう命に関わるような病気でさえ、「より短く、よりよく治る」ことを追求しているのです。

 

それなのになぜ、矯正は命には関わらないのに、「より短く、よりよく治る」ことを追求しないのか。そのほうが、患者さんも快適でよりよい生活ができるのに、なぜそうしようとしないのか。そんな疑問が湧いてきました。

 

それで、先に述べたように、国内外の学会に出席して自分なりに研究を続けました。私が学会で治療期間の短縮について発表すると、「そんなことをして意味があるのか」と真顔で言う矯正歯科医もいます。

 

しかし、私は断言します。ただ「治ればいい」ではダメなのです。患者さんのことを考えたら、もっと早く治ったほうが絶対にいい。同じクオリティで早く治ったら、誰でもそのほうがよいと思うでしょう。

 

そうであれば、どうやったらそれが可能になるかを追求することこそ私たちの仕事です。「3年かけないと治らない」というスタンスを変えない歯科医師は、医療従事者としていかがなものかと思います。

 

結核の治療に半年かかったとしても、2年半投薬を続けていた私からしたら、それは大変な進化なのです。

 

ですから結核の治療期間を短縮できたように、矯正の治療期間もできるだけ短くしたい。そこに価値があると思うのです。

 

成田 信一
自由が丘矯正歯科クリニック院長
歯学博士

 

 

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※本連載は成田信一氏の著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

自分で考え、やり抜く子の育て方

自分で考え、やり抜く子の育て方

成田 信一

プレジデント社

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