オミクロン株の流行で、主要都市でロックダウン、その混乱ぶりが伝えられている中国。対岸の火事かと思えばそうではなく、最も日本が影響を受けるだろうといいます。どういうことなのでしょうか。みていきましょう。

木材加工業関係者から聞いた、現場の切迫感

筆者の本業は米国不動産の売買コンサルティングなのですが、先日その商談でとある木材加工会社の経営者さんとお話する機会がありました。そこでここに書いたようなゼロコロナ政策に関する懸念についてお話したところ、大いに共感していただけました。

 

その企業でも、もともと中国産の加工木材を使用していたそうなのですが、筆者と同じようにゼロコロナ政策に不安を覚え、数ヵ月前からベトナムの加工木材に切り替えられたとのこと。ベトナムにはツテもなく、サプライヤー探しにはずいぶん苦労されたそうですが、おかげで現在は大きな心配ごとなく事業を継続できているようでした。「他社は中国で一次加工されている材料を使っているところがほとんどで、今はみんな青い顔をしている」とおっしゃっていました。

 

「俺は製造業じゃないから関係ないぞ」とお思いの方も、安心してはいられません。ゼロコロナ政策失敗の影響が著しく大きくなった場合の、最悪のシナリオはこうです。

 

1. 中国国内の生産網や物流網がストップする

2. 日本に素材や中間財が入ってこなくなる。

3. 日本の製造業が、ものを作れなくなる。

4. 売り物がなくなり、製造業の業績が悪化。雇用にも影響が出る。

5. 一部の物品が品薄になり、価格が高騰する。市民生活にも影響が出る。

6. 輸出量も減り、貿易赤字が悪化。外貨獲得手段が減少し、円安がますます進行。

 

ここまで来ると、国民全員に影響が出ます。警戒するに越したことはないでしょう。

「日本以外も総崩れ」にはならない理由

中国は世界一の輸出国ですから、日本以外にも中国への依存度が高い国はいくらでもあります。それらの国も日本と同じくらい影響を受けるのなら一人負けにはならずに済むのですが、生憎、日本ほど影響を受ける国はなさそうです。

 

まず、当事者である中国はどうでしょうか? 輸出売上が無くなることの負の影響はさぞや大きいだろうと思いきや、案外そうでもなさそうです。なぜなら、売上は無くなるのではなく、遅れるだけだからです。

 

中国からの輸出が止まると、各国は別の供給源を探すでしょうが、条件の合うサプライヤーはそう簡単には見つかりません。価格やクオリティーはともかく、物量の面で中国の代わりを務められる国はまず見当たらないからです。結局、顧客のほとんどは中国の経済活動を待つしかなく、売上も戻ってくるのです。ダメージと言えば政府が営業停止期間分の税収を失うくらいのものでしょう。

 

次に、対中輸入比率(2017年)で上位の国は、北朝鮮、香港、カンボジア、マカオ、キルギスなどですが、これらの国々は工業国ではありません。輸入品目も、そのまま販売・使用する最終財が多く、小売業への影響が中心になると予想できます。多少の痛手となりますが、産業構造や雇用が大規模に破壊されることはないでしょう。しかも、です。中国はあのロシアを制裁しないため、ロシアからの資源を無制限に格安で買い付けることができるのです。

 

最後に、中国との貿易額が最大の国はアメリカ。アメリカにとっても中国は最大の輸入相手国で、そのシェアは2019年実績で18.1%と、なかなか高い数字です。が、アメリカは日本と違い、国内の生産網が強く、輸入への依存度が日本よりも圧倒的に低いことで知られます。資源産出国で、国内の労働力も豊富。コロナ禍からの回復の兆しが見えるやいなや、アグレッシブに雇用を増やしたこともあり、中国からの輸入減を国内生産でカバーする体力があります。

 

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