※画像はイメージです/PIXTA

4月20日現在、一時1ドル129円台を記録するなど、円安が加速しています。このように為替の影響を受ける外貨建て資産がある場合の相続はどうなるのでしょうか。税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士とともに、一般的な換算の方法と、実際に外貨建て保険を受け取る場合の注意点を確認していきます。

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外貨建ての資産…相続ではどうなる?

相続税申告のお手伝いをしていると、高齢な方であっても外貨建て資産を所有しているケースが増えているように感じます。

 

外貨預金、外国債券、外貨建て保険などはよく目にする財産です。日本の低金利が長らく続くなか、資産運用や円建て資産集中のリスク分散を目的として購入されたケースが多いのでしょう。

 

これらを所有している方に相続が発生した場合、相続税申告では一定のルールにより、外貨建ての金額を円に換算する必要が生じます。

 

相続財産に外貨建ての財産や国外にある財産があった場合、これを円に換算して評価を行うことを「邦貨換算」といい、財産評価基本通達という税務署側のルールでは下記のようになっています。

 

4-3 外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関(外貨預金等、取引金融機関が特定されている場合は、その取引金融機関)が公表する課税時期における最終の為替相場(邦貨換算を行なう場合の外国為替の売買相場のうち、いわゆる対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場をいう。また、課税時期に当該相場がない場合には、課税時期前の当該相場のうち、課税時期に最も近い日の当該相場とする。)による。

 

※財産評価基本通達4-3より一部抜粋

 

ポイント① どこの為替レートか

為替相場については各金融機関が公開していますが、どこでも好きなところ(安いところ)を選んでよいわけではありません。外貨預金など特定の金融機関との取引であれば、その取引を行っている金融機関が公開している為替相場によります。

 

一方、現金(外貨)や国外不動産など、特定の金融機関との取引ではない財産については相続人が取引している金融機関の内、任意の金融機関の為替相場により換算します。相続人が取引している金融機関には被相続人が取引していた金融機関の預金等を相続した場合の、その金融機関を含みます。

 

ここまでをまとめると下記のとおりです。

  •  外貨預金、外貨建有価証券、外貨建保険

⇒取引していた金融機関の為替相場

  •  現金、海外不動産

⇒相続人の取引金融機関(被相続人から相続した預貯金等の取引金融機関を含む)から任意に選択した金融機関の為替相場

 

ポイント② いつの為替レートか

換算する時期については、「課税時期における最終の為替相場」とされています。相続税の計算をする場合は、被相続人が亡くなった日の最終相場です。もし亡くなった日が土日や祝日で為替相場がない場合、亡くなる前で相場がある最も近い日の最終相場で計算をします。

 

ポイント③ どのレートか

預金や有価証券など、プラスの財産を換算する場合の為替相場は「対顧客直物電信買相場又はこれに準ずる相場」とされています。為替相場にはTTS、TTB、TTMという3つのレートが存在しますが、このうち「TTB」が対顧客直物電信買相場に該当します。買相場というのは銀行側から見たもので、顧客側からすると外貨を売る際に適用される相場のことです。一方、債務などマイナスの財産の換算にはTTS(対顧客直物電信売相場)を用います。

次ページ外貨建保険の評価【シミュレーション】

※保険契約の特約により、円支払い特約の換算基準日レート以外のレートで換算が行われる場合など、上記の事例と異なるケースがあり得ます。申告に際しては税務署又は税理士等への確認をお願いします。

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