※画像はイメージです/PIXTA

4月20日現在、一時1ドル129円台を記録するなど、円安が加速しています。このように為替の影響を受ける外貨建て資産がある場合の相続はどうなるのでしょうか。税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士とともに、一般的な換算の方法と、実際に外貨建て保険を受け取る場合の注意点を確認していきます。

外貨建保険の評価【シミュレーション】

2022年3月以降、急激な円安が進んでいますが、このような状況において、外貨建保険の邦貨換算については注意が必要です。事例で確認してみましょう。

 

<事例>

相続開始日:令和4年1月18日(同日のTTB 114.00円)

換算基準日:令和4年4月18日(同日のTTB 126.00円)

保険金額:500,000米国ドル

受取人:長男(法定相続人も長男のみ)

※TTBは説明を簡便にするため、実際の相場に近い任意の金額としています。

 

この場合の保険金の支払額と評価額には大きな相違が生じます。

 

① 保険金は保険会社が定めた一定の基準日のレートを用いて計算されます。

∴500,000米国ドル×126円=6,300万円

 

② 相続税の申告においては相続開始日のレートで計算します。

∴500,000米国ドル×114円=5,700万円

※ここから生命保険金等の非課税500万円が適用可能

 

③ ①△②=600万円

 

保険会社は保険金を支払う際、支払明細を発行しますが、ここに記載されている金額は上記①により換算された金額になります。実務上、相続開始日の為替相場ではなく、この支払明細に記載された換算基準日の為替相場により申告することは広く行なわれていることかと思いますし、生命保険金等の非課税金額以下のケースや、為替相場に変動が少ない通常時であれば問題ないでしょう。

 

しかし、現在のように為替相場が急激に円安に進んでいる場合は、事例のように相続開始日の為替相場で換算することで評価額が安くなることがあります。保険については保険会社に問い合わせをすることで、相続発生日のTTBを確認できますので、これから外貨建て保険の受取を予定されている方は、申告時に注意いただければと思います。

 

 

税理士法人ブライト相続

税理士 北川 聡司

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※保険契約の特約により、円支払い特約の換算基準日レート以外のレートで換算が行われる場合など、上記の事例と異なるケースがあり得ます。申告に際しては税務署又は税理士等への確認をお願いします。

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