経営再建に向け疾走する、北海道の豆菓子店二代目社長。しかし、従業員からの「我々が作っている豆菓子って、名前が出ませんよね」「子どもに『お父さんが作っているお菓子はどこに売っているの』と聞かれました」という言葉に愕然。「我々は何のために存在し、何を大事にする会社なのか」――。そう考えたとき、見えてきたものがありました。

「中途半端はダメだ」すべてを自社ブランドに注ぎ…

自社ブランド作りに舵を切る決断は、OEM仕事をやめるという決断でもありました。変わるなら今しかありません。これ以上OEMが増えてからやめようとすると、メーカーに断るのが大変になり、迷惑がかかります。会社の規模が大きくなるほど、守らなければならない従業員の数が増え、大胆な決断ができなくなります。

 

「中途半端はダメだ。3億円の設備を廃棄した時のように、思い切った『決別』が必要だ」そう考えて、OEMをきっぱりやめて、我々が持つ技術、人、資金、時間など全てのリソースを、自社ブランド作りに注ぎ込もうと決めたのです。

 

覚悟を決めたら、気が楽になりました。OEMを断れば、当然赤字になります。通算3度目の赤字です。ざっと計算してみたところ、OEMで7億円まで戻っていた売り上げは、再び3億円くらいに減るだろうと予想できました。

 

重要なのは、赤字になることや、どれくらいの赤字になるかがあらかじめ想定できていることです。想定できていれば対策を考えることができます。例えば、経費を減らしたり、借入などによって手持ちを資金を増やしておいたりといったことができます。

 

また、過去の2度の赤字を黒字に戻せたという経験も決断できた理由の一つです。2度の赤字は、どちらも黒字に戻せたことが私と従業員たちの自信になっていました。

 

2度あることは3度あるといいます。3億円まで落ち込んでからの復活は次が3回目ですし、3度目の赤字転落があれば、3度目の黒字回復もあるはずです。

 

そう考えることができたため、3度目の赤字は、「なんとかなる」という楽観的な気持ちで、前向きに受け入れることができたのです。

 

池田 光司

池田食品株式会社 代表取締役社長

 

 

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