デフレ経済下の日本は「生産性が上がらない」が当たり前の理由

日本のように長期にわたるデフレに喘いでいる国は、販売単価が上がらず、むしろ下がっています。これが問題です。デフレは生産性を下げるのです。生産性が悪いからデフレを脱却できないのではなく、デフレだから生産性が上がらないのです。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

【オンライン開催(LIVE配信)】希望日時で対応(平日のみ)
「日本一富裕層に詳しい税理士」による無料個別相談セミナー
富裕層の相続対策から税金対策の悩みを一挙解決!
詳しくはこちら>>>

資本主義は借金があるからこそ回っていく

■実際に生産性を上げるには?

 

生産性を向上させるには、単なる掛け声だけでできるわけではありません。先立つもの、お金がかかるのです。例えば人を再教育するとします。そうしたら教育関係に投資しないといけません。テクノロジーで底上げしていくことを狙うなら、やはりお金を使って基礎研究を充実させないといけません。

 

これは政府と民間それぞれに役割があります。基本的に収益に直接結びつくようなことは民間に任せるべきです。政府のやるべきは、ただちに収益に結びつかないけれども、民間がそれを応用すれば、新しい価値ができ、ビジネスに展開できるようなことを具現化することです。

 

要するに基本的な技術。バイオやITで最もベーシックな技術をずっと底上げしていくとか、理論的な研究とかたくさんあります。これは収益が望めないので民間企業ベースでは難しい話です。政府はこのような研究にお金を使うべきです。

 

あとは防衛関係です。やはり民間ではできない。それから教育、インフラもそうです。最後には政府が借金するしかないでしょう。これは先の展望があることだから推進すべきです。

 

「政府が借金したら財政赤字で大変だから、財政破綻するから、ダメだ」と決めつけるのは、甚だしく“非”経済学的だと私は思います。先にも触れましたが、資本主義は借金があるからこそ回っていくのです。誰かが借金しないと誰かの資産は増えないのです。

 

金融経済にばかり目が向くと、実体経済はデフレであっても構わなくなります。お金が余るからです。余ったお金をいかにうまく運用すればいいか、株が上がれば投資した人みんなが儲かる……このようなことばかり考えるようになります。しかし国全体のことを考えるとやはり金融経済と実体経済のバランスが必要です。

 

「実体経済がデフレでお金が余るから金融経済にどんどん貯まって、動かない。それで儲かっているのは、先立つものを持っている投資家ばかり。これでは格差ばかりが広がってしまい、最悪のケースだ。だから実体経済にお金が回るように政治が動かないといけない……」。残念ながらこういう認識が日本にはありません。

 

■トリクルダウンとは?

 

格差というと、アメリカの場合は2021年6月時点で家計の全財産の27%を1%の富裕層が持っていると、FRB統計が示しています。そしてこれはそんなに悲観的な話ではなく、トリクルダウン効果が期待できるという話があります。これは上の層が豊かになれば下にもおこぼれがあるよということです。

 

しかしながら、この効果は経済成長率がかなり高くないと望めないと言われています。1%、2%くらいの成長率だと、受益できるのは富裕層に限られてくる。底辺の人々にはおこぼれは来ません。やはり金融資産がどんどん値打ちが上がるからといって、みんなが豊かになるというわけにはいかない。

 

ただし、経済成長率が3%、4%くらいまで高くなってくると、失業率が改善したり、消費ブームが起きたりします。そうするとすごくお金が回りやすくなる。物事がどんどん好転していくわけです。

 

こういう話を全部取っ払って、「一部の富裕層がいい思いをするだけだから、経済が成長するのは意味がない」みたいなことが言われますが、経済成長が持つ側面を前提にしていないから、これはよくありません。

 

経済成長率が高くなってくると、新規事業に出資しようという人も出てきます。とくにアメリカではベンチャー企業に投資する動きが活発になり、その恩恵にあずかる人も増えてくる。やる気のある人や能力のある人にはチャンスが出てきます。

 

一方で、単におこぼれを待っている人たちには厳しい目が向けられます。何もしてないと。これはコロナ禍で少し変わってきている印象です。コロナは不可抗力だから、やる気があろうとなかろうと、貧しい者とか機会に恵まれない人は一律給付をすべきだと。所得の再分配で底辺を支える。これは大事なことではあるのです。とくに恵まれない低所得層が沈むとなると、これは治安が荒れて社会不安になります。マイナスのコストが非常に大きい。

 

だから所得の再分配で底辺の人を救済していく、あるいは委縮した賃金全般を改善していくということは無条件に必要でしょう。コロナはやはり別格と思います。そういう意味では有事ということです。

 

田村 秀男
産経新聞特別記者、集委員兼論説委員

 

【オンライン開催(LIVE配信)】7/9(土)開催
投資家必見!銀行預金、国債に代わる新しい資産運用
ジャルコのソーシャルレンディングが「安心・安全」な理由

 

↓コチラも読まれています 

 

「給料」が高い企業300社ランキング…コロナ禍でも伸びた会社、沈んだ会社

「不動産小口化商品への投資」が相続税対策になる納得の理由

日米比較にみる、富裕層が「アメリカ不動産」に投資するワケ

これまでの富裕層の「節税」では危ない?…不動産価値の見極め方

投資家必読!投資してもいいソーシャルレンディングの見分け方

産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

1946年高知県生まれ。70年早稲田大学政治経済学部経済学科卒後、日本経済新聞入社。ワシントン特派員、経済部次長・編集委員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級フェロー、香港支局長、東京本社編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)を経て、2006年に産経新聞社に移籍、現在に至る。主な著書に『日経新聞の真実』(光文社新書)、『人民元・ドル・円』(岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係』(扶桑社新書)、『検証 米中貿易戦争』(マガジンランド)、『日本再興』(ワニブックス)がある。近著に『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)がある。

著者紹介

連載日本人の給料が25年間上がらない残念な理由

本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

田村 秀男

ワニブックスPLUS新書

給料が増えないのも、「安いニッポン」に成り下がったのも、すべて経済成長を軽視したことが原因です。 物価が上がらない、そして給料も上がらないことにすっかり慣れきってしまった日本人。ところが、世界中の指導者が第一の…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ