
オリンピックの終了後も、平均価格が過去最高を更新する「新築マンション」。驚くほど上昇している実態をみていきましょう。
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新築マンション価格「バブル超え」の実態
「東京五輪が終われば、インバウンド需要が減少して不動産価格は下がる」
そう言われ続けてきたのに、蓋を開ければ高騰を続けているマンション価格。「オリンピックが終わったら、マイホームを買おうと考えていたのに…」という嘆きがちらほらと聞こえます。
不動産経済研究所によると、2021年に全国で販売された新築マンションの価格は5,115万円と、前年比で2.9%値上がりしています。コロナ禍でそもそもインバウンドの拡大がみられなかったことに加え、全国的に住宅需要は増加したことがその理由です。
地域ごとの価格はというと、首都圏は6260万円。バブル景気のさなかであった1990年を超えて過去最高額となっています。
国土交通省が今年3月に公表した、全国の不動産価格指数の推移をみると、現在のマンション(区分所有)価値は2010年と比べて1.7倍超という驚異の結果です。戸建住宅の1.1倍以下と比較しても、極めて急角度で上昇したことがわかります[図表1]。

令和4年3月31日公表
ブロック別にみても、指数が最も低いのは165.8の関東地方であるため、どこか特定の地域だけがずば抜けて伸びたわけでもないとわかります[図表2]。
マンション購入、「資産として有利」と考える人が増加
マンションに飽きても、売って、別の住まいを購入することが比較的容易になったわけですから、2010年前後にマンションを購入した方にとっては笑みが止まらない状況かもしれません。
株式会社リクルートの住まい領域の調査研究機関、SUUMOリサーチセンターによる「2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」は、新築マンション契約者の「住まいの購入理由」を公表しています。
「資産として有利」という理由は2003年以降で最高の29.1%となり、反対に「住宅価格が安くなり買い時だと思ったから」は最低の0.9%となりました。現況をわかりやすく反映した結果です。資産価値を気にするのは、「売却」を想定しているからとも言えます。
そんな事実を知ると、「今の賃貸に住み始めた時期に、購入していれば今頃…」といった後悔も生じるのではないでしょうか。しかし、購入するとなれば「資金」もローン審査に通るための「信用」も求められます。実際のところ、賃貸を選んだ当時にそれらを用意できたかといえば、厳しいかもしれません。
さらに、日本の不動産が一番価値のある状態は新築です。年月を経て不動産の価値は保たれず、売却に出して買い手がみつかるとも限りません。
賃貸か購入か――、論争にまだ決着はつかないようです。