(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、専門的な技術や知識を持つ外国籍の人々は高度人材と呼ばれ、政府の出入国在留管理でも受け入れを促進する施策を行っています。しかし、決して多くの高度人材が定着しているとは言えない現実があります。それはなぜでしょうか。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)で解説します。

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日本人もまた国際社会と伍して戦う

従来の企業では、会社が何十年もかけて社員を育てることが行われてきました。ジョブ型雇用に対して、メンバーシップ雇用と呼ばれることもあります。ビジネス環境や経済状況の変化が激しい現代は、より個々人の利益を求めて社員が離職することも当たり前となり、従来型の社員育成は企業にとって投資リスクです。その点、ジョブ型雇用は明確な職務内容や責任範囲に対応した人を雇い、仕事に応じた給料を支払う契約関係です。

 

日本で外国人人材の話題となる場合、よく取り上げられるのは高齢化にともなう生産年齢人口の減少です。生産年齢人口は、OECDの定義では15歳から64歳の人口とされています。産業や社会保障を支える労働力の中心となる年齢層のことです。労働力が足りないから外国人移民を入れるという文脈で言われることが多いのですが、これも単純労働者を輸入しようという延長にある考え方です。

 

これまで単純労働者が担ってきた仕事は、機械化やIT化で補うことが可能な時代となっています。他方、世界に通用するような非常に付加価値の高い仕事ができる人も限られています。誰もがスティーブ・ジョブズになれるわけではないのですから、ジョブ型雇用で本当に才能のある人に頑張ってもらって、周囲の普通の人たちは彼らの仕事の成果をみんなでシェアするのが合理的です。

 

そうした付加価値の高い仕事をしてもらえる人に、どうやって日本で働いてもらうのか。そういう人たちをどのようにうまく活用していくのか。これは、新しいビジネスなのです。

 

このビジネスは、受け入れる国の治安や法制度がどれくらい優れているのかに深く関係しています。日本は治安も良く、近代的な法制度が歴史背景をもって確立しています。日本人はこの新たなビジネスで非常に有利な環境をすでに持っているのです。

 

高度人材の受け入れを行うと、日本人が外国人に負けてしまうような不安を感じる人もいることは確かです。でも、ちょっと考えてみてください。優秀な人材に働きやすい環境で活躍してもらうことは、相撲やサッカーで外国人の力士や選手が活躍するスタイルと同じです。そうした環境で日本人も刺激を受け、一緒に産業やビジネスを盛り上げていくことで、日本人もまた国際社会と伍して戦う力を養い、ビジネス全体が元気になるのです。

 

国が乗っ取られると怖がる人たちもいますが、そんな心配はありません。日本の有権者数はおよそ1億人です。投票率で見ても4000~5000万人が投票権を行使しています。ごく範囲を限定された高度人材の受け入れで、その数が引っくり返せるものではありません。

 

外国人に国を乗っ取られるのではないかという恐怖に支配されるよりも、どうやって優秀な外国人人材を活用していくのか、より有効な制度をどのように作っていくのかをみんなで考える方が、頭の使い方としても正しいし、前向きで健全です。

 

そして、大勢の日本人もビジネスでどんどん成功していきましょう。

 

渡瀬 裕哉
国際政治アナリスト
早稲田大学招聘研究員

 

 

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※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

渡瀬 裕哉

ワニブックス

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