(※写真はイメージです/PIXTA)

チームパフォーマンスを高めるには、どうすればよいのでしょうか。チームパフォーマンスに関する研究を行う橋本竜也氏は、メンバーから主体的な行動を引き出す「心理要因」を数値化し、これらを高めるマネジメントを実践することが重要であると述べます。マネジメントの実践サイクルや、チームパフォーマンスを数値化する方法について具体的に見ていきましょう。

実践サイクルの初期段階では「問いかける」ことが重要

■「あなたができることは?」…課題を「自分事化」してもらうための会話

チームマネジメントの実践サイクルに取り組む際に最初にやるべきことがあります。それは8つの主体的行動と9つの心理要因について説明したあと「みんなでこの行動をしよう。そのためにみんなで心理要因を改善していこう」と呼びかけることです。そして、「顧客への貢献」や「仕事の進め方をよりよくする行動」「メンバー間での助け合い」といった8つの主体的行動について、普段からその重要性を説いていきます。

 

実際に取り組むべきテーマは9つの心理要因になりますが、分析的になり過ぎないことが重要です。なぜ高いのか、なぜ低いのかということについて話を進めていくのは危険です。これは結果的に「犯人探し」につながってしまうことになり、チームマネジメントにおいて絶対に陥ってはいけない状態になるからです。チームパフォーマンス向上の取り組みは、誰もが「自分にもすべきことがある」と感じることが大事であり、犯人探しが始まると誰もが「自分以外の誰かが悪い」という真逆の思考になってしまうのです。

 

メンバーが「自分にもすべきことがある」ととらえるようにするには「どう感じているか」を共有することと、「あなたができることは何?」と問うことが重要です。

 

そこで心理要因の状態についてどう感じているかをみんなでシェアします。どう感じているかなので正解も不正解もありません。すべて受け入れます。「うちのチームはもっと顧客意識が高いように感じるけどな」「私は正直なところチームに貢献する自信がそんなにないのですが、皆さんは結構自信があるようでちょっとびっくりしました」「思っていた以上にチームに対する愛着が強くて、うれしいです」といったように、それぞれが「どう感じているか」を率直に共有し、それに対して否定せずに「そういう感じ方もあるね」とほかのメンバーが受容していくことで、チーム状態の「自分事化」が進んでいきます。どう感じているかがシェアできたら次に進みます。

 

特に改善したい心理要因をピックアップしてその心理要因を高めるために「あなたは何ができるか」と問うのです。このピックアップはメンバーで相談してもいいですし、リーダーが決めても構いません。

 

例えばメンバー信頼を高めたければ「ほかのメンバーからの信頼を高めるために、あなたができることはどんなことがありますか?」と問います。心理的安全性を高めたいなら「ほかの人が安心して発言できるようにするために、あなたができることは何ですか?」と尋ねます。チーム貢献への自信を高めたければ「チームに貢献する自信を高めるために、あなたができることは何ですか?」、あるいは「ほかのメンバーがチーム貢献への自信を高めるために、あなたはどんなことができますか?」と問います。

 

もちろんこれらの問いはリーダー自身にも向けられます。例えば「今までミーティング中、ふんぞり返って話を聞いてしまっていたのだけど、みんなが話しやすいようにきちんと聞く姿勢を整えようと思う」というように、リーダー自身が最初に問いに答えていくことも効果的です。これによってほかのメンバーが答えやすくなります。

 

問いのポイントは「あなたができることは?」と、主語を「あなた」にすることです。

 

効果的な問いがチームパフォーマンス向上に取り組むのはリーダーだけでなく、自分たち一人ひとりの役割なのだという意識と実際の行動を高めていくのです。

 

こういった会話ができる雰囲気作り、環境作り、そして改善を指示するのではなく効果的な「問い」を発することはまさにリーダーの仕事です。それができてくると、チームパフォーマンス向上の取り組みが習慣化されていきます。しかし、せっかく取り組み始めてもチーム状態が可視化できていなければ継続は難しいものです。そこで重要になるのがチームパフォーマンスを数値的に測定するということです。

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    ※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

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    橋本 竜也

    幻冬舎メディアコンサルティング

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