※画像はイメージです/PIXTA

収束の兆しが見えないコロナウイルス、ロシアによるウクライナの侵攻等、世界は極めて深刻な状況にあります。それらの影響はニュージーランドの不動産マーケットにも少なからず及んでいます。いま現在、そして今後の状況はどうなるのでしょうか。不動産エージェントとして活躍する筆者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。※本記事は、2022年4月8日現在の情報に基づいて執筆されています。

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    若年層はステップアップを、中高年層はサイズダウンを

    銀行はコロナ禍で金利を下げて2%台を保ってきたことから、利用者は一時的に楽になりました。しかし今回、金利は2%台から一期に3%後半から4%台に戻ることになり、これが非常に頭の痛い問題です。

     

    とはいえ、賃貸料が高い地域であるため、多少苦しくてもどうにか融資を受け、マイホーム購入へと進める若い世代、親世代のサポートを受けて何とかこなしている家族も増えています。賃貸物件居住=人様のローン返済のお助けになるわけです。

     

    もちろん、住宅価格の10%、場合によっては20~30%となる頭金を用意できない場合は、融資が受けられないため、マイホーム購入は断念し、賃貸生活をすることになります。また、事情により賃貸生活を選択している方もあり、賃貸マーケットは多忙です。

     

    国が定める「ヘルシーホーム規定」により、賃貸住宅であっても、冷暖房付きで換気設備万全の温かく乾燥した家に住めますし、以前と比較すれば快適な条件の家も増えているため、マイホームにこだわらず、賃貸物件で生活をエンジョイする家庭も多いのです。

     

    需要と共有のバランスが崩れれば、どこかでギャップが生じてきますが、住宅は生活に不可欠なものです。人生設計に沿い、できる限りベストな形で居住空間を得てもらうべく、私たちも営業活動を続けています。とくに若い世代には、贅沢言わずに買えるものを買い、ステップアップしていくことを強くお勧めしています。

     

    逆に、中年世代には「サイズダウン」を提案しています。地域移動するなら、現在の家を売れば、新居を買っても多少おつりが出ますが、同等レベルの家やグレードアップを希望する方は、予算の割に思うほどの物件が望めず、移動をためらうことになります。

     

    一方で、日本へ撤退派は、円安へと移行中のいまがビックチャンスです。1円の差でも、不動産は単価が高いため、それなりにまとまった金額の差が生じます。差が10円となれば100万円単位で利益が上がります。為替変動により、不動産や貿易に携わるビジネスは大きなアップダウンがあり、自身のポジションによって明暗が明確に分かれます。

    遅延していた市役所新評価額(CV)も、いよいよ発表

    2020年に出るはずだった市役所新評価額=CVがコロナの件で遅延し、レーツ(固定資産税に近い税金)の支払い基準も値上がりせずに継続状態でしたが、ついに、新しい評価額が発表となりました。

     

    レーツを支払う側にとって値上げはウェルカムではないのですが、家の売却者にとっては「よい知らせ」です。「自分の所有物件の評価が上がる=売りやすくなる」ため、うれしい悲鳴ではありますが、この評価額はあくまでも目安であり、マーケット価格と連動していません。

     

    また、値は上がるものの、評価額までは実際に家のマーケット価格についてこない物件もあり、我々業界人間にとっては悩ましい数値です。しかし、マーケットはおおむねこの評価額より上の数値で動いていますので、現状ではようやくその数値に近づいてきたか、もう少し上の数値を動いているといった状況にあります。

     

    筆者の家の評価額も上昇し、いま売れば、購入当初の約4倍の金額となりそうです。22年保有した上での結果です。しかし、上述したように、サイズダウン、もしくは地域変更しなければプロフィットは出ず、これが悩みの種です。

     

    NZ不動産は、時としてステイ…ドロップ・オフというケースも若干ありますが、その後は短期で上昇・階段上に上がるというのが歴史から見た動きです。コロナや戦争により、開港すれば欧米からの移住希望者も増えることでしょう。

     

    また、今年は、昨年9月に発表された永住権支給特別枠の結果が出てくる時期です。永住権が取得できれば、マイホームバイヤーも増えます。明るい要素はいくらでもあると見ています。資金の融通が利く方は、あるいまがチャンスではないでしょうか。「オークション流れの物件を、慌てずに無条件で買う」ばかりではなく、「条件付き、価格も交渉しながら買える」チャンスがあります。

     

    開港すれば、それと同時に欧米・アジアからの移動者の波が来るでしょう。北半球の夏・NZの冬までに行動することをお勧めします。

     

     

     

    一色 良子
    ニュージーランド在住不動産エージェント

     

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