25年間の慢性デフレの正体…誰が日本の経済成長を止めたのか

日本では1990年代後半から25年間も慢性デフレが続いていますが、それが放置されたままになっています。経済成長をさせることが、政治家の最大の使命と言えます。経済を成長させられない政権は失格です。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

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金融市場からお金を吸い上げて実体経済を回す

■中央銀行はなぜ必要?

 

実体経済と金融経済をうまく橋渡しするのが政治の大切な役割のひとつです。それには政府が国債を発行して金融市場からお金を吸い上げて、実体経済に回すしかありません。

 

そのために重要な役割を果たすのが発券銀行である中央銀行、日本銀行です。

 

新規発行国債の大半は通常、民間の金融機関が購入します。新規発行国債の金利(表面金利)はすでに市場で流通している国債の利回りを基準にして決まります。利回りとは、表面金利を流通市場で相場が変動する元本価格で割ったものです。

 

例えば、発行時に表面金利が1%、オリジナルな元本である額面100円の国債が市場で取引されて元本が200円に値上がった場合、利回りは0.5%ということになります。逆に50円に値下がりすると利回りは2%に跳ね上がります。

 

この利回りが基準となれば、政府は新規発行国債が額面で100円で従来通りだとしても、表面金利2%の国債でないと買い手がつかない恐れが生じます。政府は100億円借金すれば2億円の金利を払わなければならなくなります。それを避けるため日銀が国債流通市場で国債を大量に買い上げて国債相場を支えれば、政府は低コストで国債を発行できるのです。

 

現在のように国債利回りがマイナスになれば、政府はマイナス金利の国債を発行できます。それは買い手、即ち貸し手である民間金融機関が金利を売り手、借り手である政府に払うという倒錯現象ですね。

 

しかし、金融市場とはよくできています。マイナス金利国債を買った民間銀行などの投資家は、保有期間中に負担した金利分を十分吸収できるだけの高い元本価格で国債を売却すれば儲かるのです。このため、国債利回りが少なくてもマイナス金利を維持していかなければならないので、中央銀行の国債買い入れがとりわけ重要になるのです。

 

国債という政府の借金の返済は税収によって賄われるべきで、税収は増えないのに政府の借金が膨らむ一方だと、国債の信用が失われて、国債相場が暴落し、金利が高騰してとんでもないことになる、との見方があります。そうした財政均衡論はいわゆる財政均衡主義者、健全財政信奉者の考え方で、日銀が国債を買い上げるとしても、おのずと限度があると批判します。この限度とは日銀財務が不健全になるという観点に立っています。

 

現実に日銀は資産の部で国債のストックを大量に抱えています。日銀負債の部は国債買い上げのために発行した円資金で膨らむことになります。だから、日銀の財務状況が悪くなるからまずいというわけですが、日銀財務は国債の市場動向に左右されます。国債保有量が膨大だからといって、まずいことには必ずしもなりません。買い上げた国債が値上がりすれば日銀は収益を増やし、利益の増収分を国庫に納入することになるからです。実際に、日銀収益は国債相場の安定を背景に政府への納付金を増やしています。

 

いまはそうでも、いつか国債相場が暴落すれば、負債の日銀資金の金額は不変ですから、債務が資産を上回る、つまり債務超過になる恐れが生じます。国債が暴落するとき、金利は急騰します。国債金利が急騰するということは、要するに国債の買い手がほとんどなくなる、売り手だらけになるということです。

 

国債金利は住宅ローン金利や企業が銀行から借り入れる設備資金の金利の目安ですから、国債金利暴騰は家計や企業を直撃します。また国債を保有、運用している民間の銀行や生命保険会社は大きな損失を被ることになる。

 

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産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

1946年高知県生まれ。70年早稲田大学政治経済学部経済学科卒後、日本経済新聞入社。ワシントン特派員、経済部次長・編集委員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級フェロー、香港支局長、東京本社編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)を経て、2006年に産経新聞社に移籍、現在に至る。主な著書に『日経新聞の真実』(光文社新書)、『人民元・ドル・円』(岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係』(扶桑社新書)、『検証 米中貿易戦争』(マガジンランド)、『日本再興』(ワニブックス)がある。近著に『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)がある。

著者紹介

連載日本人の給料が25年間上がらない残念な理由

本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

田村 秀男

ワニブックスPLUS新書

給料が増えないのも、「安いニッポン」に成り下がったのも、すべて経済成長を軽視したことが原因です。 物価が上がらない、そして給料も上がらないことにすっかり慣れきってしまった日本人。ところが、世界中の指導者が第一の…

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