(写真はイメージです/PIXTA)

マンション管理費や修繕積立金を滞納する人が増えています。無対策のまま放置すると、時効が成立し請求できなくなる場合も……。本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が、滞納者増加の背景やその予防策について解説します。

交渉が難航…弁護士ができること

管理組合が独自に請求しても管理費等を支払ってもらえない場合は、どうすればいいでしょうか? その場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士は、たとえば次のような方法で解決することが可能です。

 

①支払督促

 

支払督促とは、管理組合などの申立人による申立てのみに基づいて簡易裁判所の書記官が滞納者に対して金銭の支払いを命じる制度であり、法的手段のなかで最も簡易迅速な方法です。

 

支払督促手続を利用すると、裁判所から管理費等の滞納者に対して、「滞納している管理費等を、〇日までにきちんと支払いなさい」という文書が送付されます。

 

単なる内容証明の場合、無視をしたところで財産が差し押さえられることはありません。一方、支払督促であれば、命令を無視した場合には実際に財産を差し押さえることができます。

 

なお、支払督促が届いてから2週間以内に、督促異議の申立てがなされた場合には、自動的に通常の訴訟手続に移行することとなります。

 

②強制執行や競売

 

法的手段を取り管理費等を支払うべきとの判決が出たにも関わらず、それでもなお管理費等を支払わない場合には、強制執行や競売を行うこととなります。

 

強制執行とは、相手の給料や賃金、預金などを差し押さえて、そこから直接取り立てることで債権の回収に充てる方法です。また、競売とは、管理費等を滞納している区分所有者の所有するマンションを強制的に売却することをいいます。

 

なお、管理費等請求権には、法律によって先取特権という担保権が与えられているため、訴訟を経ることなくいきなり競売をすることも可能です。滞納が悪質な場合には、最終的にこのような方法を取ることも可能だということを知っておくといいでしょう。

 

まとめ…まずは徴収方法や管理規約の見直しを

 

マンションの管理費等が滞納されると、マンション管理に多大な影響が生じてしまいます。また、いざ滞納が発生してしまえば、その取立てには多大な労力やコストがかかることもあります。

 

そのため、まずは滞納ができるだけ生じないよう、管理費等の徴収方法や管理規約を見直すことから始めましょう。

 

滞納が発生している場合には、早期に弁護士へ相談してください。マンション管理費や修繕積立金の滞納は、早期の解決がカギとなります。滞納が長期にわたるとその影響は大きなものとなるので、早い段階での解決を目指しましょう。

 

 

森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士
 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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