写真:PIXTA

ロシア・ウクライナ問題の長期化により、世界中でインフレが蔓延する中、フィリピンでもインフレ懸念が高まっています。高インフレはフィリピン経済にどのような影響を与えるのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が解説します。

外資規制緩和法制がフィリピン経済に与える影響

フィリピン経済特区庁(PEZA)の最高責任者によると、多くの投資家が新政権を待っているため、5月の大統領選挙後、より多くの投資がフィリピンに入ると予想しています。フィリピンは5月9日に大統領選挙を実施します。投資家は通常、投資決定を行う前に、次期大統領の政策を見極めます。

 

3月に、28人の投資家とアナリストを対象にしたブルームバーグの調査では、現副大統領のマリア・レオノール・G・ロブレド氏ががトップピックであり、世論調査ではフロントランナーとみられているフェルディナンド・R・マルコス・ジュニア氏が2番目でした。

 

直近のデータによると、PEZAと投資委員会(BoI:Board of Investment)によって承認された投資の合計は、2022年の最初の2ヵ月で対前年90%減少して128億2000万ペソとなりました。

 

内訳を見ると、PEZAの投資承認額は1月から2月の期間で53%減少して52.7億ペソになり、BoIの投資承認額は前年比94%減少して75.5億ペソになりました。

 

2022年のスタートは低調でしたが、PEZAは現在、2022年の投資承認額を対前年7〜8%増を目標としています。

 

PEZA長官は、外国人投資を促進することを目的とした3つの外資規制緩和措置が議会を通過した後、目標数値を上方修正しました。3つの画期的な外資規制緩和法制(公共サービス法、小売業自由化法、外国投資法の改正)により、選挙後、海外からの投資額は高まるとPEZA長官は述べています。

 

政府は、これらの3つの外資規制緩和策により、コロナウイルスのパンデミックから経済がより早く回復することに役立つと述べています。

 

フィリピン政府は、2022年国内総生産(GDP)の7〜9%の成長を目標としており、2021年の5.6%からの本格回復を目指しています。改正公共サービス法の下で、外国人は、公益事業の定義から除外された電気、通信、海運、鉄道と地下鉄、航空会社、高速道路と有料道路、空港などの公共サービスを外資が100%所有できるようになりました。

 

改正前は、これらのサービスは公益事業に分類されており、40%の外国人所有上限が設けられていました。 改正外国投資法では、外国人が100%所有の国内マーケット向けの事業会社を設立することができるようになります。

 

改正小売業自由化法は、外国の小売業者の最低払込資本を250万ドルから2500万ペソに引き下げました。 2021年実績ですが、PEZAは合計693億ペソの外国人投資を承認しました。業種としては、製造業が255.1億ペソで一番大きく、情報技術(IT)産業は73億2200万ペソでした。 そして、PEZAは、2021年のPEZA承認企業からの輸出額が2020年の55.309億ドルから14%増加して630.61億ドルになったと報告しています。

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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