万が一のために……そう考えて、多くの人が資産形成を進めていますが、その目標額はいくらなのでしょうか。そう聞かれたら「2,000万円」というのが一つの答えの用です。では、「2,000万円あれば、老後は安心」といえるものでしょうか。みていきましょう。
2,000万円あるから大丈夫…高齢夫婦の慢心が生んだ、老後破産の悲劇

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金融資産の目標額…みんなはいくら貯めたい?

幾度となく、「老後を見据えて自助努力を」と聞いたからでしょうか、多くの人が資産形成を始めたり、興味・関心をもつようになりました。

 

金融広報中央委員会『家計行動に関する世論調査(令和3年)』によると、年齢があがるごとに金融資産*の保有率は上昇。その額も、基本的に年齢が上がるにつれて増えていく傾向にあります。特に50代から60代にかけては、資産額もぐっと増えるタイミング。年金生活を前に、資産形成を加速させていることが伺えます。

 

*定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または 将来に備えて蓄えている部分ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している 金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えてい る部分は除く

 

【金融資産「年齢別」保有率】

20代:62.9%

30代:77.3%

40代:75.2%

50代:76.8%

60代:81.0%

70代:81.7%

 

【金融資産「年齢別」保有額】

20代:344万円/201万円

30代:986万円/400万円

40代:1,235万円/531万円

50代:1,825万円/800万円

60代:3,014万円/1,400万円

70代:2,720万円/1,500万円

 

※数値左:平均値、右:中央値

出所:金融広報中央委員会『家計行動に関する世論調査(令和3年)』

 

実際、資産形成を進めるにあたり、いくらぐらいを目標にしているのでしょうか。同調査では目標額についても尋ねています。全世代平均は3,233万円、中央値は2,000万円です。年代別にみていくと、50代以降の中央値は2,000万円。年金生活を前にした人たちは「老後の安心のため、2,000万円は蓄えたい」と考えていることが伺えるでしょう。

 

【金融資産「年齢別」目標額】

20代:2,177万円/1,000万円

30代:3,365万円/1,500万円

40代:2,926万円/1,500万円

50代:3,308万円/2,000万円

60代:3,655万円/2,000万円

70代:3,046万円/2,000万円

 

※数値左:平均値、右:中央値

出所:金融広報中央委員会『家計行動に関する世論調査(令和3年)』

 

この2,000万円という金額で思い出されるのは、2019年、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書による、いわゆる「2,000万円問題」。報告書の中で「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約1,300万円、30年で約2,000 万円の取崩しが必要になる。」という記述が大きく報道され、多くの人が「老後のために2,000万円が必要」という意識をもったことが、この調査結果からも分かります。

 

一方で、目標額と実際の資産額には、500万円ほどの差が生じている……というのが現実です。