(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の父親を亡くした兄妹は、高額な賃料が入る収益物件を共有名義にしました。それから10年が経過し、妹はマンションを手放したいと考えていますが、兄は同意してくれません。妹は、どうすれば自分の意思を通せるのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

共有物分割請求で、共有状態を解消する3つの方法

共有物分割請求により、共有状態の解消をする方法は、次のとおりです。

 

①現物分割

不動産そのものを持分に応じて分割し、共有状態を解消する方法です。現物分割することができる不動産は更地などに限定され、現物分割に適する不動産は少ないです。

 

②価額賠償

ほかの共有持分を、不動産の所有を希望する共有者が金銭を支払って取得することにより、共有状態を解消する方法です。

 

③換価分割

不動産を売却して、代金を共有持分に応じて分けることにより、共有状態を解消する方法です。

 

本件で問題となっているのは、貸しマンションなので、うまく2分の1ずつ区分所有登記ができる構造になっていれば、現物分割も可能です。現物分割が可能な場合、共有物分割により共有の解消方法としては、現物分割が優先します。

 

したがって、正解は選択肢③となります。

 

しかし、区分所有登記ができない構造の場合、あるいは、区分所有とすると価値が下がってしまうような場合は、現物分割はできませんので、不動産を所有することを希望する共有者が他の共有者に金銭を支払って、共有持分を取得することとなります。この価格賠償により共有持分を取得するには、価格賠償をするだけの資力を証明する必要があります。

 

価格賠償をする資力が無い場合は、不動産を売却して代金を共有持分に応じて分ける換価分割の方法をとることとなります。

 

よって、選択肢④も正解となります。

 

花子さんは、現物分割による区分所有登記を請求でき、それが実現したら、自分の所有する区分所有権を売却し、代金を取得することができます。

 

それができない場合は、太郎さんに持分を買い取ることを請求でき、太郎さんが花子さんの持分を買い取ることができなければ、マンション全体を売却して代金を分けることを請求できることとなります。


 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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