(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の父親を亡くした兄妹は、高額な賃料が入る収益物件を共有名義にしました。それから10年が経過し、妹はマンションを手放したいと考えていますが、兄は同意してくれません。妹は、どうすれば自分の意思を通せるのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

「共有物分割請求」という方法で対処する

遺産に不動産がある場合、相続人間で揉めずに平等に分けられることから、法定相続分により共有にして相続するケースは多くあります。不動産を共有にして相続する方法を「共有分割」といいます。

 

しかし、簡単に、平等に分けられる「共有分割」には、共有故の次のようなデメリットがあります。

 

1.売却等の処分には、全員の承諾が必要となる。

 

2.管理方法の決定には、過半数の承諾が必要となる。

 

3.管理は、特定の共有者が行うこととなり負担となる。

 

4.不動産が住宅の場合、特定の共有者のみ居住し利益を得ているが、他の共有者はただ持っているだけで何の利益も得られない。

 

5.老朽化したときに、大規模修繕をするのか、建て替えるのか、売却するのか共有者の意見が全員一致しないと決められない。

 

したがって、相続する際、共有分割はあまりおすすめしていません。

 

仮にきょうだい仲がよくても、この共有物の処分方法や管理方法を巡って争うこととなり、それが原因で関係が悪くなってしまうということもよくあります。

 

では、一度共有にしてしまったら、共有状態を解消する方法はないのでしょうか。

 

実は、民法は、共有の解消方法を定めています。

 

それが、「共有物分割請求」です。

 

共有物分割請求は、いつでも行使が可能なので、共有状態の解消はいつでも可能ということとなります。

 

共有物分割請求が制限されるのは、共有状態を解消しないという「不分割の合意」があるときです。しかし、「不分割の合意」は5年しか有効ではありません。

 

したがって、一度共有にしたら、共有のまま持ち続けるしかないとする選択肢①は誤りです。

 

また、共有物を売却するには、全員の承諾が必要ですが、共有物分割請求をすれば共有状態を解消することは可能です。そこで、マンションを売却するには共有者全員の承諾が必要なので、太郎さんの承諾を得られない以上共有のまま持ち続けるしかないとする選択肢②も誤りとなります。

 

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