(※写真はイメージです/PIXTA)

「わかっているようでいて、なかなかわからない」のが自分自身です。特に、リーダーは自分の価値観や判断よりも、会社やチームの利益、ニーズ、判断などを優先せざるを得ないこともあります。どうすれば自分を深く知ることができるのでしょうか。エグゼクティブコーチの大平信孝氏が著書『部下は動かすな。』(すばる舎)で解説します。

「本当はどうしたいか」を続けざまに質問する

■「心の声」を聞くためのヒント

 

次に、「心の声」を聞くコツをお伝えします。

 

過去の失敗や現状の忙しさなどはまず脇に置いて、「本当はどうしたいのか」を問いかけ、理想の未来をイメージするのです。

 

このとき、「続けざまに質問する」のがポイントです。

 

たとえば、

 

「部下の育成もしなければいけないし、成果も出さないといけない。この先うまくやっていけるのか不安だけれど、頑張らないといけない」

 

という「頭の声」が聞こえてきたとします。

 

そこで止まらずに、「本当はどうしたい?」と体の声や心の声を聞いてみるのです。

 

「最近、睡眠不足で体がしんどいから、ゆっくり休みたい。肩こりがひどいから、なんとかしたい」という「体の声」が聞こえてくるかもしれません。

 

そこで、さらに「本当はどうしたい?」と問いかけます。すると、「温泉にゆっくり浸かって、リフレッシュしたい」「薪ストーブのあるゆったりとした暮らしがしたい」「趣味の陶芸に没頭したい」といった心の声が聞こえてきます。

 

「本当はどうしたい?」と、自分に問いかけても、はじめのうちははっきりした答えが出てこないかもしれません。そんなときは、まずは今夜食べたいものからでいいので「本当はどうしたい?」と自分自身に聞いてみてください。

 

「心の声」を聞けるようになると、自分の本当の欲望を理解できるようになります。すると、「自分が、どんなことを大事にしているのか」「会社でどんなことを成し遂げたいのか」「自分が大切にしている価値観」「今どんな夢や目標を描いているのか」といったことが、徐々にわかるようになります。

 

すぐに答えが出なくても焦らないでください。

 

「本当はどうしたい?」という問いを頭の片隅に置き続けることで、「心の声」に気づきやすくなっていきます。結果的に、「自分を深く知る」ことができるようになっていくのです。

 

■「自分の声を聞く」ことは、自分を甘やかすことではない

 

「心の声や体の声を聞く」ことと、「自分を甘やかす」ことを混同される方がいるので、両者の区別を解説します。

 

たとえば、あなたは朝5時起きを習慣化したいとします。

 

朝5時に目覚ましが鳴りました。でも、あなたは眠いし体も疲れている。

 

そこで、自分に「本当はどうしたい?」と問いかけたとします。すると、「眠いし、疲れているし、もうちょっと眠りたい」という答えが返ってきたとします。

 

こんなとき、あなたならどうしますか?

 

自分を甘やかす傾向のある人は、「やっぱり、体の声を聞くのは大事。疲れているから今日は7時まで寝ちゃおう!」と考えて眠ります。

 

自分を甘やかしてしまう人は、自分の声に「耳を傾ける」ことと、声に「従う」ことを混同してしまっているのです。つまり、自分の声を聞くことと、その声の望み通りに行動することは区別してください。

 

次ページ自分を甘やかさずに対応できるのか

※本連載は、大平信孝氏の書籍『部下は動かすな。』(すばる舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

部下は動かすな。

部下は動かすな。

大平 信孝

すばる舎

「部下が動いてくれない」「部下が一向に成長しない」「怒っても褒めてもうまくいかない」「チームが全然まとまらない」「リーダーとしての自信がない」… このような悩みを抱えるリーダーのあなたは、なんとかして部下・チ…

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