人生100年時代、貯金を使い果たしてしまう「長生きリスク」が心配です。それを防ぐためには、できるだけ長く働くほか、年金の受け取り方にも工夫が必要になってきます。おそらく、いま年金受給を考えている世代は、妻が長く専業主婦をしていたというケースが多いでしょう。お得で安心な年金の受け取り方をシミュレートしてみます。

日本年金機構の「窓口相談」は、極めて有益

最後に、3点セットの3番目である日本年金機構の「窓口相談」について説明します。これは全国の日本年金機構の年金事務所の窓口カウンターにて、予約制で1人30分間、年金に関する無料相談ができる制度です。

 

感染症拡大で窓口を絞っていたこともあり、私が前回窓口相談に行った時は1カ月先の予約がようやく取れるというほど人気のサービスでした。

 

1人30分なので、夫婦で相談に行けば連続した予約で合計1時間の相談ができます。残念なのは予約が平日の昼間時間のみで、土日・祝日や平日夜の時間では相談ができないことです。

 

ただ、有給休暇を取ってでも相談に行く価値があります。

 

かつて年金記録の喪失問題(いわゆる「消えた年金」問題)などがあったこともあり、社会保険庁から現在の日本年金機構へと組織改編された後は、とても親切な対応をしてくれて、親身に相談に乗ってくれます。

 

予約制なので待たされることもなく、しかも無料なのです。

 

同じような相談を民間のFP(ファイナンシャル・プランナー)にしたら数万円はかかる内容です。

 

実際の年金関連事務を行っている公的機関が行う相談なので、年金額のシミュレーションが正確で、一人ひとりの条件に合わせた試算を複数のケースを想定して自在に行ってくれます。

 

さらに年金に関するよくある誤解や注意点などを質問しなくても親切に教えてくれたりします。

 

私は57歳で起業する直前、年金受給開始の2年前、そして年金受給開始の3カ月前の計3回、窓口相談に行きました。

 

最近の2回分は夫婦で予約をしていきましたので、夫婦2人分の年金について1時間じっくりと相談ができました。

 

自分なりに「ねんきんネット」でシミュレーションして疑問点などを整理してから相談に行けば、効率的に中身の濃い相談ができます。

 

こんなにいいサービスを利用しない手はないので、ぜひ一度、日本年金機構の「窓口相談」を予約して夫婦で行ってみることをおすすめします。

 

なお、年金制度に関しては、「このまま少子高齢化が進めば現役世代が高齢者を支え切れず、年金財政は破綻する」、「賦課方式ではなく積立方式にすべきだ」、「国民年金、基礎年金はすべて税金で賄うべきだ」など、とんでもない誤解や誤った報道、言動が世の中に溢れています。

 

老後マネープランを考える際は、わが国の年金制度についての正しい知識を持って、そうした暴論に惑わされないことが重要です。

 

年金についてよく言われている誤解を正し、「年金の真実」を分かりやすく解説した本として経済コラムニストの大江英樹氏が書いた『知らないと損する 年金の真実―2020年「新年金制度」対応―』(株式会社ワニブックス)を一読することをおすすめします。

 

 

大杉 潤

経営コンサルタント

ビジネス書作家

 

 

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