現在、多くの中小企業の経営者が後継者不在で悩んでいます。しかも経営者の半数以上が後継者の育成に必要な期間を「約5年」「5年~10年」と答えています。短期決戦で事業承継しようとすると失敗するといいます。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

事業承継にはどれくらいの費用がかかる?

こちらも詳しくは後述しますが、事業承継を行う際には専門家や事業者に支払う手数料・報酬や課税など、数多くの費用や納税が伴います。

 

例えば税金。現経営者が死亡し、株式などの財産を相続人が受け継ぐと相続税が発生します。その税率は1000万円以下の10%から、6億円を超えると最大の55%に達します。財産の贈与に伴う贈与税も事業承継ではお馴染みで、後継者に対して課せられます。

 

一方で、贈与税を控除する制度があるなど、各種制度をうまく活用することで税負担を抑えることもできるので、こういった点は専門家に相談のうえ、活用したいものです。他にも、不動産の所有権移転に際しても登録免許税や不動産取得税がかかるケースがあり、課税に該当する場合は適切に対応する必要があります。

 

■専門家やM&A事業者への支払いは高額にのぼることも!

 

M&Aを使った事業承継の場合、専門事業者や士業などの専門家の協力は必要不可欠で、さまざまな報酬が発生します。例えば、税理士や公認会計士の場合、事業承継の支援をしている事務所ならパッケージの料金の設定や、株価算定や現状分析など、必要な個別のサービスに応じて1回いくらといったメニューの提供があるようです。

 

弁護士の場合、相談であれば30分当たり数千円~数万円、事業承継の顧問を依頼するなら月額数十万円から、事業承継計画書の作成なら承継財産の金額に応じた割合で報酬設定をする事務所が目立ちます。顧問契約をしていない場合は着手金、報酬、手数料がかかります。

 

M&A仲介会社の場合、総合的に支援するなら月額数十万円から依頼ができ、近年は月額報酬がゼロのアドバイザーもいるようです。候補先の選定にも着手金が発生し、案件の規模により数十万円~数百万円の幅がありますが、これを無料にする会社も出てきました。成約金額に応じた成功報酬になっていることも多く、 1億円未満の売買で500万~1000万円かかることもあります。

 

基本的には売買金額が大きくなればなるほど報酬は高額になる傾向があります。片や、当社が提供するM&Aのプラットフォームように、売買に際して費用を抑えられるサービスもあり、資金の少ない中小企業の事業承継・M&Aのを支えるものとして認知度を高めています。

 

瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。
瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。

 

瀧田雄介
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長

 

 

※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業向け 会社を守る事業承継

中小企業向け 会社を守る事業承継

瀧田 雄介

アルク

後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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