(※画像はイメージです/PIXTA)

人生100年時代が到来しました。要介護になると、元気なころよりお金が必要です。公的介護保険があるため、介護サービスは原則1割負担で受けられます。しかし、介護が長期化すれば、その分自己負担は増えていきます。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏と横川由理氏が『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)で解説します。

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これまでとは違うリスクが生まれてきている

「人生100年時代」といわれるほど、人の一生は長くなりました。1960年は男性65歳、女性70歳だった平均寿命が、2021年は男性81.64歳、女性87.74歳。2060年には男性は84歳、女性は90歳を越えるとも予測されています。

 

一般的に、生命保険では「死亡リスク」を中心に備えます。死亡は非常に大きな損失だからです。しかし、長生きになると、新たなリスクが生じてきます。

 

80~84歳の27%が要支援・要介護の状態で、85歳以上だと59%を越えています。この数字が示すように、いまや介護は避けて通れない問題です。公的介護保険があるため、介護にかかる費用は原則1割負担です。

 

とはいえ、介護期間は長期化する傾向にあります。あるアンケート調査によれば、平均的な自己負担額は、総額約500万~800万円だとか。老後資金を心配する人は多いものですが、要介護になると負担はいっそう増えます。こうした「生きるリスク」に備えることが「人生100年時代の保険選び」のポイントです。

 

ところで、生きるリスクは高齢者に限った話ではありません。最近は40代、50代の働き盛りも、複雑で多様なリスクに直面しています。

 

たとえば、低成長が続き、なかなか賃金の上昇が見込めません。家計に余裕のない世帯が増えており、少しの収入の減少でも深刻なリスクとなりうる恐れがあるのです。そのため、働けなくなった時の収入減に備える「就業不能保険」の存在が、大きくなりつつあります。

 

一方、共働きが当たり前になったので、収入は2つに分散されます。したがって、死亡による収入減少のリスクは、少し減っています。

 

人生全体を眺めてみれば、ライフプランが総じて後ろへズレ込んでいる傾向があります。晩婚化しかり、雇用延長しかり。また、厚生年金の支給開始は60歳でしたが、2000年から65歳になりました。年金の繰下げ受給をすると、さらに長く働くことを前提に考えなければいけないでしょう。

 

以前のように、20代から60代までの死亡保障が中心という保険では通用しません。諸々のリスクを組み込み、長寿社会に合ったプランニングが必要なのです。

優先すべき保険をどう見極めるか

もっとも、なんでもかんでも保険に頼っておけばいいというわけではありません。すべてのリスクに備えようと思ったら保険料はばか高くなり、いくらお金があっても足りないでしょう。

 

保険に入りすぎて保険貧乏になるようでは、本末転倒です。まずは社会保障などの公的制度を確かめ、それを補完する形で保険を選んでください。

 

また、あなたを取り巻く状況が変われば、リスクも変化します。ずっと同じ保障では足りなかったり多すぎたりと、現状にそぐわないかもしれません。保険は必要な時期に、適切な保障額を準備することが肝心です。定期的に見直しをしてください。

 

そして、選ぶ際には優先度をもとに考えましょう。優先度の高い保険とは、もしものときに経済的損失が大きいリスクに備える保険です。逆に、損失額が小さかったり、ほかのもので補えるなら、優先度の低い保険です。

 

たとえば、医療保険。医療費の自己負担はそれほど多くないため、優先度は低くなります。積立をしたいなら、税制優遇のある「iDeCo」や「つみたてNISA」が、効率的に貯められます。ですから、個人年金保険は二番手、三番手に検討すべき商品です。トンチン年金も年金の繰下げ受給で同じ効果が得られるので、優先的に考える保険ではありません。

 

次ページ優先度の高い保険、優先度の低い保険
NEWよい保険・悪い保険2022年版

NEWよい保険・悪い保険2022年版

長尾 義弘
横川 由理

徳間書店

人生100年時代といわれるほど人の一生は長くなりました。しかし長生きになることによって、新たなリスクが生じています。それは「生きるリスク」です。80~85歳の27%が要支援・要介護、85歳以上だと59%超というデータがあるよ…

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